381: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/27(火) 23:01:25.60 ID:lWu08we60
《じ、巡視艇【あきつしま】、敵の雷撃により轟沈しました……生存者、確認できません……》
誰もが言葉を失い沈黙する中、由良の絞り出すような報告の声が無線機越しに耳朶を打つ。……まるで初陣したばかりの駆逐艦のように語尾が震えていたけれど、現状を受け止め声を発せられただけでも彼女は十分賞賛に値する。
少なくとも、眼下の光景を受け入れられずにただ立ち尽くすことしか出来なかった私とは比べるべくもない。
《魚雷だなんて……雷撃機の機影は近くになかったのに………一体、どこから……》
か細く虚ろな葛城の問いかけは、誰かに答えを求めていない。乱れる自身の精神を何とか落ち着けようという、独り言にちかいもの。
だけど、それに対する“回答”は、思いの外あっさりとそこに姿を現した。
『────……』
「…………そんな」
喉奥から、呻き声が漏れる。
マッコウクジラに駆逐イ級を掛け合わせたような、黒く角張った形状の随伴個体。青白い眼から冷たい光を放ち、大顎に生える獰猛な犬歯を剥き出しにして、獲物を待ち望んでいるかのようにガチガチと撃ち鳴らしているその化け物の背に、“彼女”は悠然と腰掛けていた。
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