エンド・オブ・オオアライのようです
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364: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/22(木) 12:22:29.03 ID:gNRjXRdj0
鉛弾に撃ち抜かれ、右尾翼が千切れて後方へと吹き飛んでいく。穴だらけになった左翼も、機内に鈍い音を残してへし折れる。

〈クソッ、シセイセイギョフノウ!!〉

〈ダメダ、オチル!!〉

グルングルングルン。妖精さんの眼を通して、私の世界が文字通り激しく回転する。乗組員である三人の妖精さんたちは必死に機体の状況を改善しようとしていたが、それが物にならない努力であることは明白だった。

………墜落地点を学園艦上から反らせる事が出来る程度にはまだ舵が効きそうなことだけは、不幸中の幸いね。

「……ごめんなさい、お願い」

〈〈〈リョーカイ!!〉〉〉

少ない言葉の中から、優秀なこの子達はその意味を汲み取る。機銃手の妖精さんが、私が見えるようにあえて目の前で親指を立ててみせる。きっとこの子の背後では、他の二人も同じ姿勢を取っているのだろう。

〈ボカンドノ、ゴブウンヲ!!〉

「ええ」

操縦手妖精のその言葉を最後に、私の意識は3番機機銃手へと飛んだ。直後に、視界の端を4番機が煤けた飛行機雲を残して通り過ぎていく。

尋常ならざる速度で回転する彩雲を、妖精さんたちが懸命に制御しているのだろう。バラバラと空中に部品を撒き散らしながら墜落していく機体は、それでも確実に学園艦の上から逸れている。あの軌道ならほぼ確実に海に墜ちてくれるはずだ。

……私が艦娘として再び生をこの世に受けてから、二年と少しが経つ。だが、未だに意識を共有している機体が撃墜されるときの感覚になれることはできずにいる。

尤も、今はその気持ちを引き摺るわけにはいかない。残余2機も4番機撃墜後は動きが鈍っている今が好機だ。

「加賀より各機、彩雲4番機喪失も追跡中のカブトガニ2機を武装破壊によって撃退」

《加賀ちゃん、ナーイス!!》

《これだけ乱してくれれば十分!加賀さん、殿機体を隊列に戻して!

目標高度まであと1800!!全編隊、広域索敵陣形展開用意───》

《Saratoga-25ヨリ各位、新手ノ敵航空隊!!総数、目算不能!!》

《あぁ、もう!!》

葛城の悪態が無線越しに響く。それに続いた打撃音と破砕音から察するに、彼女のそばにある何らかの備品が悲惨な最期を迎えたらしい。


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