357: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/16(金) 23:01:50.98 ID:Dpgy6EUU0
満天の星空の如く眼下で煌めく無数の砲火。次々と伸びてくるオレンジ色の火線に混じって現れた、黒く小さな点。
妖精さんの並外れた視力が無ければ気づくことさえ不可能なそれらは、見る間に私達の艦載機に肉薄し、すれ違う形で後方へと飛び過ぎていく。
《由良より各艦、敵機種を確認!全て【カブトガニ】!》
由良からの報告に、私は思わず表情を曇らせた。
カブトガニ………欧州や米国では“Helm”と呼ばれる、深海棲艦側の汎用戦闘機。性能は零戦21型に極めて近く、旋回能力が高い反面防弾と急降下時の運動能力に弱点を持つという特徴も共通している。
そう、向こうも急降下運動は決して得意じゃない。そして学園艦上の敵艦が(確認されている限りは)軽空母ヌ級のみという点から、編成が【カブトガニ】に偏っていることもある程度読めていた。
だからこそ私達は、此方も編成に零戦を擁しながらも上空からの突入という戦術を採ったのだ。
(敵に先手で上方を取られないよう私達の方から降下攻撃を仕掛け、【カブトガニ】の迎撃を正面からに限定する………それが前線指揮所と私達の狙い目でしたが)
もしも正面からの格闘戦になれば、実戦経験が豊富で防弾性能と火力に優れるサラトガのグラマン部隊が迎撃・足止め。その間に小回りの利く零戦、烈風を護衛として私達偵察部隊が学園艦直上まで降下する……指揮所の海上自衛隊佐官が立案した一連の作戦は、敵機の性能も鑑みられており十分理に適っていたように思う。
『『『────』』』
《カブトガニ……【Helm】、全機当編隊後方にて反転!
敵編隊、後方に占位!向かってきます!!》
だけど、その思惑はたった今外れた。
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