307: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/02/21(水) 23:05:19.22 ID:BsS8N4hC0
ムラカミさんの走りを邪魔しないよう、僅かに首だけ動かして前を覗き込む。
眼に映るのは、3メートルから4メートル先でぴょこぴょこと上下に揺れる赤い毛玉。一瞬面食らったが、よく眼を懲らせばそれはパーマをかけられた頭髪だ。
やはり船舶科の服を身につけていて、邪魔だったのか帽子は右手に握られている。背は160cm前後、此方もこの年代の女性として低いわけではないのだが、僕が“ムラカミさん”の上から見ているせいもあってかどうしても小柄に感じてしまう。
「根賀のおっさんと日屋根の兄貴は武器持ってるしさぁ、あたしじゃ体格的に役者不足だからムラカミぐらいしか運べるのがいないんだってぇ。我慢してよね〜」
「言われなくてもわあってるっつの!!それよりラム、後どれぐらいで着くんだ!?」
「後6ブロックってところだねぇ、ファイトファイト〜」
ラム、とは恐らく先導する生徒の呼び名か。日本人としては聞き慣れない名前なので、或いは鈴木さんたちや某紅茶学園のようなソウルネームなのかも知れない。
そして、その“ラム”さんと荒い呼吸の中から慣れた様子でやりとりするムラカミさん。
(メメ;^ω^)(能島村上家、厳島の戦い、毛利元就………もしかして“ムラカミ”もソウルネームかお?)
村上水軍。公式記録では南北朝時代にその名が登場する瀬戸内海の勢力で、水軍と名が付いているがその実態は今で言うところの“海賊”だ。来島、因幡、能島の三家が存在し、特に能島村上家は毛利元就が陶晴賢を撃ち破った【厳島の戦い】で重要な役割を担ったことも手伝って一般でもそれなりの知名度がある。
そしてラム酒と言えば、“海賊のお酒”の代名詞。
(メメ;^ω^)(この子たちがどういう集団に属してるのかちょっと見えてきたお)
まぁ、自分が何故この子達に運ばれているのか、“根賀さん”や“日屋根さん”は何故この子達と行動を共にしているのか、この二人はどこから武器を調達したのか等まだまだ疑問も多数残りはするが。
今僕たちが何に追われているのか、という点も含めて。
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