306: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/02/21(水) 23:01:28.81 ID:BsS8N4hC0
散弾銃という日本式の名称が示すとおり、ショットガンの弾丸は前方の空間へ拡散発射される。射程距離が概ね50m前後と極端に短い代わりに、近接戦闘での殺傷能力と空間制圧能力はとても高い。故にその性能は、市街地や閉所での接近戦で特に遺憾なく発揮される。
そう、例えば今僕らがいる、人が四、五人も横に並ぶと隙間がなくなるような狭い廊下とか。
『キィイイアアアアアアアアアッ!!!?』
(メメ;゚ω゚)「ヒッ……!?」
僕らを追ってくる“何か”からすれば、弾幕なんて生易しい存在じゃない。突如出現した「銃弾の壁」にまっ正面から突っ込む形となった“何か”の肉が裂ける湿った音と、それを掻き消すおぞましい断末魔が冷え切った廊下の空気を震わせる。
(●▲●)「おうムラカミさん、そのあんちゃん眼ェ覚ましたんか!」
「あぁ、たった今な!」
此方に駆け戻ってきた小太りの男性……根賀さんが、“何か”の声に身体を強張らせる僕を見て微かに眉根を上げた。どうやら、僕を背負う女生徒の名はムラカミというらしい。
「さっきから他人様の背中でうるっさくて仕方ない!怪我人じゃなかったら床に放り出してるっつの!」
「ま〜ま〜、そーいーなさんなってムラカミや。こんだけ苦労して連れてきた挙げ句“屍体でした”ってんじゃ、それこそ骨折り損のくたびれもうけだしねぇ〜」
前方から聞こえてくる、この修羅場に似つかわしいとは言い難い間延びした女の子の声。
ここで初めて、僕はこの一行を先導する四人目の存在に気づいた。
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