29: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/01/05(金) 23:11:40.35 ID:dCQGlBda0
間髪を入れず、再び響く爆発音。廊下から窓の外を見れば、商業区の方でもう一つ大きな火柱が上がっていた。
西住さんたちが操る戦車のものに酷似した───だけど、より大きく重い「砲声」を直前に挟んだ上で。
「………何今の。ひ、火ィ噴いたよアイツ!!」
「向こうの方燃えてない?」
「じゃああれ……本当に深海棲艦なの……?」
「ねぇ、こっち見たよ!」
「逃げて、早く逃げてぇ!!!」
他の教室からぽつりぽつりと廊下に漏れる、授業中だった他の生徒達のざわめき。それらは瞬く間に校舎全体に波及し、やがて爆発的な悲鳴へと変わっていった。
「おわっ!?」
「Shit!!」
「っ、皆さん落ち着いて下さい!すぐに広報から指示があるので一度それを聞いてから避難を!」
(;^ω^)「闇雲に逃げるなお!かえって避難が遅くなる!」
この4階にも、他の教室から生徒達が溢れ出す。僕や生徒会長である五十鈴さんが呼びかけても、狂乱状態の生徒達は聞く耳を持たず僕たち戦車道履修者一行を飲み込みながら我先にと階段や非常口へ殺到する。
《放送室、生徒会広報より全生徒へ!さっきのJ-ALERTは訓練ではありません、速やかに指定避難場所まで移動して下さい!
避難経路は風紀委員や先生方の誘導に従って!冷静に対応するようにして!》
「早く行って早く!」
「ちょっ、押さないでよ!」
「落ち着いて!まずは外に、今の生徒会からの放送に従って避難を!」
「校舎の中に止まるな!正面玄関からの避難者と非常口からの避難者に別れろ、一つの入り口から出ようとすると混雑するぞ!!」
疾うの昔に止まっていたJ-ALERTに変わって武部さんの声が聞こえても、納まる気配は無い。他の教員や風紀委員も懸命に誘導しようとしているが、狂乱する群衆の濁流に組織的な活動を殆ど出来ないまま僕等同様押し流されていく。
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