270: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/02/10(土) 00:41:49.17 ID:tuhNfgCQ0
いやまぁしかし、それが自然な反応だろう。少女は歩きながら、改めて思う。
目と鼻の先の茨城県沖じゃ学園艦の上に深海棲艦が現れ、さらに全方位から人類の皆殺しを狙う化け物の群れが押し寄せてきている現状。おまけに南から来る奴は、今までに確認された事がない新型と来た。
これで一般市民に“怯えるな”という方が無理難題だ。商売だって手に着くまい。寧ろ、他の海沿いの街のようにパニックに陥って我先にと逃げ出さない事を賞賛してもいいぐらいだ。
(明らかに、アイツが、オカシイ、だけザマス!!)
次第に胸の内にこみ上げてくる怒りを抑えるため、意図して足を力強く踏み鳴らしながら歩く。周りから幾らか滑稽に見えるだろうけど構うものか。
「────こんな言葉をご存じかしら?
ひとつの幸せのドアが閉じる時、もうひとつのドアが開く。しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない」
「………ヘレン=ケラーザマスね、知っているとも。今使われる言葉として正しいかどうかは別として」
指定の喫茶店に辿り着き、粗い動きでドアを開ける。ほぼ同時にカウンター席から投げかけられた“格言”に、少女の────元BC自由学園戦車隊長の顔が盛大に歪む。
「……で、こんなときに何の用ザマスかダージリン」
「落ち着きなさい、アスパラガス。駆けつけ一杯の紅茶は如何?このお店のオススよ?」
視線の先では、「横須賀に来たくない最大の原因」が笑顔でダージリンティーが入ったカップを掲げていた。
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