261: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/02/09(金) 16:30:10.79 ID:Wfw+ZZyrO
戦闘開始から1時間と経たずに、既に200近い機体とパイロットを失った。残っている各機体の燃料や残弾も乏しく、ただでさえ難敵の【Black?Bird】との空戦は管制機のロストによっていよいよ覆しがたい状況になっている。そしてこれほどの犠牲を払ってなお、【学園艦棲姫】は未だ本体に傷一つ着けられていない。
だが、パイロット達はそんな状況に絶望し、恐怖し、それでも懸命に戦いながら────微かな希望も見出していた。
最初から解っていたことだ。急造とはいえ米軍の原潜まで投入された防衛ラインを無傷で突破した化け物に、どれほど通常兵器が束になったところで適うものではないと。
出撃の時から知っていたことだ。自分たちは将棋で言えば“たたきの歩”みたいなもので、相手の足を止めることは期待されていてもヒーローになることは期待されていないと。
光の巨人が出てくるまで大怪獣に立ち向かい、足を遅らせつついいように撃墜されてその恐ろしさを見せつける────自分たちの役回りなんてそんなもの。
無論、下馬評を覆して自分たちが英雄になってやろうと思っていなかったわけじゃない。だが、其方が仮に叶わなかったとしても、本来の仕事としては申し分がない。
『ゴァアアアアアアッ!!!』
学園艦棲姫の足は、止まっている。防衛線では見せなかった形態変化を見せ、第4世代戦闘機と真っ向勝負をした上で蹂躙できる貴重な航空戦力をもう一度引きずり出した上で、この途方もない化け物の足を日本から遙か遠く離れた海原で止めてやった。
自分たちの“役割”は、十分に果たした。ならば、後は────
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