199: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/28(日) 23:12:45.67 ID:JMvyrWZc0
尤も、両者の歩み寄りはあくまでも外交的な判断の結果に過ぎない。
ASEAN加盟国にとって、日本は艦娘という強力な【兵器】を多数保有する「アジアの盾」である。同時に未だに同じ人類への牙も隠そうとしない中華人民共和国への抑えにもなり、自国の安全保障の観点から見てその存在は何者にも替えがたい。
日本にとって、ASEANほど都合のよい“友好的な周辺国”は存在しない。ドイツほど遠くなく、韓国と違って価値観の共有ができ、アメリカのように艦娘の利権を水面下で激しく奪い合う必要もない。素直に此方の庇護を受けてくれる一方で共闘に値するそれなりの軍事力も有し、しかも潤沢な市場を提供してくれる存在は、日本からすればこの上なく都合がよかった。
そこに、世間が夢見る「国家間の有情」や「人類の共和」といった美しい思想は介在しない。あるのはただ、「互いの国益に見合うかどうか」、ギブとテイクは見合っているのかという政治的判断の世界のみ。
だが、友情だの理念だのの不確定な要素がないからこそ、両者が結んだ“防共協定”の効力は絶大だった。互いが互いにとって“有益な存在”である以上、失わえば著しく“国益”が損なわれる。故に日本と東南アジア諸国連合は、互いの危機を看過することができない。
実際【第二次マレー沖海戦】では、日本は東南アジアの防衛に文字通り死力を尽くした。極秘裏に“海軍”を動かしてまで守りざるを得ないほど、【絶対優位が確立された市場】が失われることは日本としては避けねばならなかった為だ。
フィリピン海防衛線を突破し日本領海へと北上を続ける“新型”深海棲艦の存在は、ASEANにとって日本の【マレー沖】と同等………否、“それ以上”に重大な事象だった。
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