155: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/01/20(土) 23:13:17.04 ID:LOZkUa2G0
それは、私がよく知る北方蜜柑巡査の姿とはかけ離れたものだった。
少しぽっちゃりした体躯を揺すって学園艦内を一所懸命走り回り、生徒や居住者がトラブルに巻き込まれればどれだけ忙しくてもすぐに飛んでいく優しく頼もしい保安官。
まだ未婚で、歳も若いに「肝っ玉かーちゃん」なんて渾名を着けられて、それでもその名を呼ばれると楽しそうに笑う────そんな人が今眼を血走らせて、喚き、錯乱している。
彼女の姿こそが、大洗女子学園の“現状”の表れだ。
誰もが憔悴し、誰もが状況を理解できず、何をすればいいのか、どうすればいいのか解らずに惑い悶えている。
この学園艦に居る誰も彼もが、平凡な日常が突然粉々に砕け散ってしまったという現実を受け入れられずにいる。
そして、そんな私達の憔悴など知ったこっちゃないとせせら笑うようにして。
「前方、人影アリ!」
状況は、なおも刻々と悪い方へ変わり続ける。
「指定避難区域の方角から此方に向けて民間人多数が接近!後方に“暴徒”と思われる集団も確認!
避難民の大半は大洗女子学園の生徒・教員と思われます!」
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