エンド・オブ・オオアライのようです
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143: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/19(金) 23:17:49.51 ID:waLrkwuYO
既に、西住ちゃんの周囲では優に10を越える“暴徒”が気を失った状態で転がっている。彼女の動きは洗練されていて、更に“暴徒”の殆どは武装しているにも関わらず踏み込みに微塵の躊躇も見せない。

結果、間合いを詰められて得物を思うように使えなくなった“暴徒”達は的確に急所を突く西住ちゃんの打撃であっという間に沈んでいく。

「はぁっ……はぁっ……!」

だからといって、西住ちゃんに消耗がないわけではない。攻撃を受けなければ体力を失わないのは一昔前の格闘ゲームでの話だ。

急所を狙ってくるのは向こうも同じ、それに次の暴徒が此方に辿り着く間隔がドンドン短くなっている。私達の方に一人たりともそいつらを向かわせないために、危険を顧みず懐に“跳び込みざるを得ない”面が西住ちゃんにはある。

「はぁっ、はぁっ……コホッ、コホッ……」

「に、西住殿……」

「隊長……」

14人目の暴徒を倒して素早く次に備えて構えを取ったけど、肩で息をしていて足下も少し揺らいでいる。一人から二人に増えるだけでも彼女の負担を大きく減らせるだろうけれど、気絶している澤ちゃんを含めて私達の中に格闘技経験者はいない。加勢したところで、逆に西住ちゃんの足手まといになっておしまい。

「…………ッ!」

噛みしめた歯からミシリと音が鳴る。太腿に右手の指が食い込み、皮膚を裂いて血を滲ませる。

この学園艦も、私達の“英雄”も、危機に陥っているのに何も出来ることがない。

私は、無力だ。


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