125: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/18(木) 00:42:52.03 ID:pWIW7eUO0
数百人が上げる悲鳴や断末魔の中にあって、それはまるで直接頭の中で響かせたみたいにはっきりとここまで届いた。
生後数カ月の赤ん坊が上げたような………それでいて、酷く嗄れて耳障りな笑い。声自体のおぞましさとそれがこの場で響くという不自然さが、私の身体を芯から冷やす。
「に、西住殿……今のは……」
「……五十鈴さんたちが心配だけど、今は一旦様子を見ます。秋山さんも動かないように。角谷先輩、動けますか?」
「あ、はは………少し力は入るようになったかな」
すっかり怯えきって縮こまった秋山ちゃんに的確な指示を出しながら、西住ちゃんが腰を屈めて私の顔色を覗き込んでくる。
……心底から私や秋山ちゃん、それに宇津木ちゃんや澤ちゃんを心配してくれている表情だ。この期に及んで自然とそういう態度が取れるこの子は天使か何かだろうか。
「とはいえ、まだ立てそうもないけど。西住ちゃん、最悪私は置いて逃げていいからね?」
「そんなことは絶対にしません。力がある程度入るなら、移動速度を上げるため私が肩を貸すので」
「────後ろです西住殿ォ!!!」
「西住ちゃん、危ない!!」
「──────!!!』
彼女の後ろで鉄パイプを振りかぶる人影。
私と秋山ちゃんが、同時に悲鳴に似た叫び声を上げる。
鈍い打撃音が、私の耳朶を打った。
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