115: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/15(月) 15:42:05.19 ID:lwd7GqTtO
いつの間にか、叫び声が意味を持つ「言葉」として耳に届くような近さまで距離が詰まっている。逃げなければいけないのに、私の足は地面に根でも生えたみたい動かせない。
「会ち、角谷先輩、逃げましょう!ここに居ると危険です!!」
「あっ………」
西住ちゃんが私の腕を引くが、まるで筋肉が全部綿になっちゃったみたいに下半身に力が入らない。引かれるままに私の身体は腰から崩れ落ち、お尻が冷たい地面を踏みしめる。
「逃がすかクソがぁっ!!』
「早く回りこめ!!あいつら女子供も連れてるから逃げ足遅いぞ!!』
「このままだと追いつかれます!!」
「クソッ、機動保安隊は総員反転しろ!!」
互いに指示を出し合いながら、二田さんたちを囲い込もうと広がっていく“暴徒”たち。それに対して、今度は五、六人の保安官がいっせいに振り向いてその進路に立ち塞がる。
他の区画の担当だったのか正門での空襲から生き延びた部隊がいたのか、全員がH&K MP5を構えていた。
「撃ち方ぁ、始め!!」
放たれた弾雨が“暴徒”に殺到する。頭を、胸を、腹を鉄の弾丸が撃ち抜く湿った音が私達の下まで届く。
噎せ返るような血の臭いが、辺りに充満した。
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