エンド・オブ・オオアライのようです
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102: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/13(土) 23:10:36.68 ID:Q+RJLMSmO


だと言うのに、だ。

私がよく知る街並みが、燃えている。

私がよく知る青空を、爆弾を抱えた戦闘機が飛び回っている。

そして私がよく知る人は、たった今目の前で居なくなった。

嗚呼畜生、神様ってのが居たらきっと性根の腐りきったクソ野郎に違いない。いたいけな少女があれだけ必死に祈ったってのに、全く真逆の結果を鼻先に突きつけやがって。

「西住ちゃん!宇津木ちゃん!!」

いつか地獄に落ちた暁には、必ず神様のケツを渾身の力で蹴り飛ばしてやる───そう決意しつつ、私は樹木園から飛び出して我らが隊長の元へと駆け寄る。

秋山ちゃんも澤ちゃんも、樹に縋り付くようにして立つのがやっと。足が生まれたての子鹿のようにがくがく震えて動ける有様じゃない以上、私が行くしかない。

「二人とも大丈夫!?怪我は無い!?」

「私は大丈夫です、宇津木さんも見た限りでは……っ、宇津木さん、ダメッ!!」

「だって……せんせ、今落ちて……私のこと庇って……やだ、やだ……」

抱き留める西住ちゃんの腕の中で、宇津木ちゃんの視線はぽっかりと口を開け黒煙を吹き出す穴に固定されている。直下に浄水パイプでもあったのか、流れる水の音が轟々と聞こえてくる。

身を捩って西住ちゃんの拘束から逃れようとしつつ、宇津木ちゃんの両手は何かを掴もうとするように難度も空を掻いていた。

「っ、宇津木ちゃん落ち着いて!大丈夫、大丈夫だから!」

私自身眼にしているのが辛く、半ば私情混じりで強引にその動きを手首を掴んで終わらせる。何が大丈夫なのかなんて、言っている私にも解りゃしない。

ただ、今が大きなチャンスであることだけは間違いなかった。

吹き出す黒煙が煙幕の役割でもしてくれているのか、深海棲艦機は上空を飛び回りながらもまだ次の攻撃に移る様子は無い。今のうちに樹木園まで辿り着けば、後は指定避難場所まで突っ走るだけだ。


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