79: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/31(日) 10:09:47.69 ID:S+a4hU780
🎀
スポットライトがつくりだす光のサークル。
その光の輪のなかに、乃々ちゃんが立っていた。
明るい緑色の衣装に身を包んだ彼女を見ていると、森に住んでいそうって第一印象を思い出す。
会場がざわめきはじめた。
ソロのトリなのに出てきたのは見たこともない女の子なんて、ファンの人たちからすればびっくりするのも仕方ないと思う。
マイクを握っている手がかすかに震え、下を向いて俯いている。遠目からも緊張しているのがありありとわかった。
「乃々ちゃん……」
いますぐにでも駆けつけたかった。
その手を握ってあげたかった。
でもそれはできない。
私にはその資格はないから。
私はもう乃々ちゃんのプロデューサーじゃないんだから。
顔をあげて大きく深呼吸をした乃々ちゃんは一瞬こちらを見て、
「え?」
まるで安心してください、というようににっこりと微笑んだ。
その優しい表情のまま、前を向く。体の震えはとまっていた。
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