76: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/31(日) 09:56:38.32 ID:S+a4hU780
🎀
ドームを貸し切ってのライブなんていつぶりだろう。
定例ライブはいままでもおこなってきたけれど、ここまで大きなドームでのライブは数えるほどもなかったと思う。
ライブまで三十分をきったころには、客席はいっぱいに埋め尽くされていた。
「おお。すごい人の数だな」
「……嬉しそうですね」
わくわくした様子のプロデューサーさんにできるだけそっけなく返事をする。
こうして優しく話してくれているあいだにもこの人が苦しんでいる。
私にはこの人と笑いあう権利なんてなかった。
「今日はなんたって乃々のデビューだしな。緊張してるが、それよりも楽しみだ。……おっと、そうだ」
ファイルから一枚の紙を取り出して、手渡してきた。
「今日のセトリだ。確認しておいてくれ」
「……まゆは出ないじゃないですか」
「いいから見とけって」
そう言って紙を押し付けると、部屋から出ていった。
まずこの事務所の稼ぎ頭のアイドルたちが全体で歌ったあと、それぞれのソロ曲やユニット曲が続く。
乃々ちゃんの出番は中盤。
いちばん心理的に負担がないところに配置してもらっている。
別に見なくてもセトリは頭に入っているのに。
そう思って、なんとなしに紙を見てみた。
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