喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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14: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:09:53.38 ID:WtWlSgcZ0


「おっと、つい本音が」


 真面目な顔でお兄サンがそんなことを言う。周りの人たちは、アタシたちのことを邪魔そうには見てるけど、特に気にも止めないで流れていってしまっていた。アタシとお兄サンだけが、このクリスマスに取り残されてしまったみたいに。


「えーっと、じゃあお兄さんとちょっくらデートしませんか。こんなところじゃ寒いし、ね?」


 なんて怪しさ満点のセリフなんだーといい加減な感想を抱きつつも、その提案は魅力的に見えた。面白いコトを探しに来たはずなのに、アタシの心も身体もすっかり冷えきってしまっていた。


「……いーよーっ」


 スカウトなんて面白そうとか、アタシそんなタイプじゃないよとか、いよいよ悩むのが面倒くさくなって。このクリスマスにサンタ帽だけを被ってきたお兄サンの面白さに負けて、アタシはついうなずいてしまった。


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