喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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11: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:07:20.96 ID:WtWlSgcZ0
 

 アタシはなにやってもフツウって、よく言われる。勉強も、部活も、趣味も、特技も、何か上手にできることがあるわけじゃない。個性を、自分だけの味を、って学校の先生は良く言うけど、正直良く分かんない。それがみんな当たり前で、フツウのことだって、思ってた。


 でも、どうやら、ちょっと違ったみたいだ。たくさんの友達は、クリスマスを楽しむあのヒトたちは、みんな、なにかトクベツを持っていて、それを大切にできる。本気で全力で頑張って、そのトクベツを、丁寧に育ててあげられるもんなんだって。


 それはアタシには眩しくて、とっても良いコトに思えた。


 アタシにだって、褒められることは、トクベツのタネはあるのかもしれないけど。最初は嬉しそうに褒めてくれる人たちも、少しずついつもの距離へ戻っていってしまう。アタシもアタシで、たくさんの良かったところから、何を育ててあげたらいいのか分からなくて、上手く水をあげられないままだ。


 アタシには、本気も、全力も、難しいって気づいてしまった。


 だから、アタシは、楽しいことを探す。誰にでもできて、柚にもできること。なんにも持たない柚が、頑張らずに、ちょうどよくふらふらと歩いてゆける理想と現実の隙間。それは一瞬だけ、柚の生活を眩しく照らしてくれる。


 その明かりを頼りに、手探りで、ここまで来てしまった。それでも、朝起きて、学校へ行って、授業を受けて、部活に行って、帰ってきて、夜眠る。そんな繰り返しくらいは乗り切っていける。その代わりに、トクベツに語るようなことも、なんにもないけれど。


 かっこ良く言うなら、不満もないけど、ロマンもない、みたいな。


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