【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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99: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:53:15.83 ID:tCiOWLnR0

22 〜クリスマス当日〜

ガラスが割れる音がして、ダンベルとバッグが店内に飛び込んできた。
ピンクのバッグにはGoing My Wayというロゴが書いてある。

奈緒「うわあ!なんや!敵襲か!?」

私も驚きで思わず悲鳴を上げてしまう。
そして間を置かずに黒い服を着た男が店に上がり込み、せかせかとバッグを回収した後、店の外へと駆け出して行った。
代わりに店の奥から走ってくる足音がする。

店員「なんです!?何の音……って、うわ、ひどい!」

店員は床に散らばったガラスに目をやって、すかさず問いかける

店員「犯人はどこです?どっちに逃げましたか!?」

奈緒さんが方角を指し示す

店員「すみませんが、店を頼みます!私は、犯人を追いますから!」

奈緒「え、店を頼みますって、ちょっと!」
奈緒さんの制止を無視して店員は犯人を追いかけるため店の外へ駆け出していく

奈緒「ああ……いってしもた。動転しすぎや……」

静香「どうします奈緒さん?」
まさかこんな状態で店番もないだろう。警察に連絡をするのが妥当なのかもしれない。

奈緒「静香、防音ガラスとガラスの破裂音が耳に残ってたせいで、さっきまで聞こえんかったけど、今は歌が聞こえないか?それも私らが聞き馴染んでる歌が」

まだ本調子でない耳を集中して澄ましてみる。

静香「本当ですね。歌です。私たちの――」
その時私の携帯に着信がある。
百合子からだ。
私は電話に出る。

静香「もしもし、百合子?」

百合子『静香ちゃん?百合子です。あのね、静香ちゃん、私――』

百合子が間を置く。なんだろう。何か不幸が事でも起きたのだろうか。そんな心配が私の胸に沸く。だがそれが杞憂に終わる。

百合子『杏奈ちゃんと仲直りできたよ!』

百合子の上ずった声とその内容に、ホッとしたと同時に。嬉しさがこみ上げてくる。

静香「そうなの?良かったじゃない、百合子!」

百合子『うん。静香ちゃんと、このみさんのおかげだよ。本当にありがとう!』

そっか。このみさんも百合子にバトンを繋いだんだ。

静香「ううん。最終的に仲直りできたのは百合子の力だと思うわ。私たちはただバトンを繋いだだけ。走り切ったのは百合子よ」

百合子『でも、本当に2人のおかげなんだよ?私、杏奈ちゃんと仲直りできた時思ったんだ、私一人じゃ絶対に杏奈ちゃんと仲直りできなかったって。他にもね、静香ちゃんと、このみさんにバトンを繋いだって言ってもらえたから、絶対にゴールまで走り切ろうって思えたんだよ』

静香「そう思ってくれたなら、とてもうれしいわ。たぶんこのみさんも同じはずよ。」

心からそう思う。

百合子『えへへ、そうかな。それで、私今回の一件から教訓を得たんだ。もしかしたら、生きるっていうのは目隠しで何回もリレーを走るようなものなのかもしれないって』



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