【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
1- 20
88: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:47:30.14 ID:tCiOWLnR0

19 〜クリスマス当日〜

「クリスマス商戦ですよ、クリスマス商戦!」
翼が言っていた言葉をあたしは思い出す。路上ライブなんて今まで何回もしてきたが、今回は観客の集まりが群を抜いている。
街灯の光の下と、翼のアイデアで自転車のライトも追加された街の何もないステージでスタートの合図もなしに始めた路上ライブだったが、マルチ商法でもやってんのかってぐらいに瞬く間に観客の姿が他の観客を呼びよせ、賑わいを見せていた。
クリスマスは外国の文化だからか、教会の賛美歌よりもわかりやすいミュージックをここでは求めているのかもしれない。
 隣でマイクを握る瑞希に目を向ける。まさか本当に幕間にマジックショーを始めるとは思わなかった。でもそれはそれでよかったのかもしれない。客と翼には大うけだったからだ。
 あたしは演奏をしながら思った。今日は良いライブだ。まるで主役になったようないい気分がする。

しかし異変が起きた。

まずはパトカーのサイレンが聞こえる。
 なんだ?どっかで事件でも起きたのか?と思った。方向的にはゲームセンターがある方だが……

「なんだお前!いきなり来て割り込んでくんじゃねえよ!」
「黙れ、押すんじゃねえ!」

パトカーの音の後に、誰かが観客の集団の中に飛び込んできたらしい。あたしらを囲むように集っていた観客たちの層が怒声とともに乱れ始める。そして――

あたしたちの目の前に黒い服を着て、そんな姿に不釣り合いな女物のピンク色に
「Going My Way」のロゴが入ったバッグを持った男が飛び出して来た。さらにそいつの脚を、「本日の主役」と書かれたタスキがだらしなく、くぐっている。

突然の出来事にあたしは思わず演奏を止め
ジュリア「本日の主役はあたしらだろうが……」
と的外れなことを口にしてしまう。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
121Res/164.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice