【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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84: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:44:16.82 ID:tCiOWLnR0

百合子『うぅ、そこは好みの違いか〜でもセリフを少し修正するよ。本当に大切な気持ちは伝わらないと意味がないからね。』

本当に大切な気持ちは伝わらないと意味がない。百合子さんの物語では主人公のセリフはちゃんと幼馴染に意味が通じていた。でもそれをわざわざ変える意味……
もしかして……
私はランキングに更新をかける。何度も何度も、
もしかして、もしかして百合子さんが言いたいことって……!
私は願いを込めてまた更新をかける。
外面右上にランキングが更新されましたとお知らせが出現する。
私はランキング10位の名前を不安と期待につつまれながら見つめる
そこに書いてあったのは

『戻ってきて』

だ。『いい加減に戻ってきて』

『杏奈が幼馴染だったら、あのとき主人公に言ってほしかったのは“いい加減に、戻ってきて!”って素直な気持ちかもしれません。』

百合子さんに言った言葉を思い出した。
これは百合子さんが杏奈に宛てた仲直りの手紙なんだ。
どうしてすぐに気づかなかったんだろう。
胸からあふれるようにこみ上げる涙を杏奈は抑えきれなかった。
会いたい、百合子さんに会いたい。

『なら百合子さんのもとに戻ったら?』

私の目指すべき理想的なアイドルが私に囁く。
気付けばマザーズバッグをもって、店外に飛び出していた。そうだ、そうすればよかったんだ。百合子さんに会いたい。素直な気持ちに従うんだ。街灯に照らされた夜道を杏奈は疾走する。
だが勢い余って、曲がり角で黒い服を着て、ピンクのバッグをもって飛び出してきた男の人とぶつかってしまった。突然のことでお互いバッグをおとしてしまう。

男「っち!あぶねえだろ!」

杏奈「す、すいません」

お互いに落としたバッグを拾って、反対方向に駆け出していく。
なぜだろうバッグの重さを全然感じない。律子さんの言ったように、ダンベルを持ち歩いた成果だろうか。気持ちが軽いからだろうか。
ポケットから携帯を取り出して、百合子さんに掛ける。
私の勇気を呼び覚ます目覚まし時計の力は、今の杏奈には必要がなくなっていた。




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