【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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69: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:35:23.57 ID:tCiOWLnR0

あたしは言い淀む。あたしは目抜き通りを進んだ先にある例の共同ビルに目を遣る。最初に頭に思い浮かんだのはプロデューサーの謎をとくヒントがここにあるかもしれないという好奇心だというのは嘘じゃない。でもそれだけか?と言われるとそうではない。

『現実に戻してんじゃね〜よ』 

ライブハウスで聞いたあの言葉が脳裏に浮かぶ。そして想起される全然盛り上がらなくなったステージ。もしあたしがステージにたってたならどうなっていただろう。何かを変えられたのかのだろうか。いや、もしかしたら何もできないのかもしれない。ただあの光景があたしの中でわだかまりとなっているのは確かだ。ただ翼になんと答えたものか――

瑞希「それはもちろん。ロックンロールを探すためです」

瑞希が端的に答える。
ああ、それだ。素晴らしい。単純でいいじゃないか。
翼は何のことだと、目をぱちくりさせている。

瑞希「伊吹さん、ロックンロールはどこにあるか知っていますか?私とジュリアさんはそれを探しているんです。」

瑞希は「私達はロックンロールの求道者なんです。」と誇らしげに宣言する。

翼「え、瑞希さんと、ジュリアーノって、弓道やってるんですか?でもそれなら、引ったくり犯が来てもイチコロですね!」
最近出るらしいんですけど、その時は頼みますね!と的外れなことを言う。

瑞希「伊吹さん、それは的外れです。弓道だけに。ふふっ」

瑞希が大爆笑し始める。
ああ、また収集がつかなくなった。

ジュリア「おい、そろそろ始めるぞ」

こうなったらもう始めちまった方がいい。こいつらが飽きちまう前に。
私は弦とフレットの間に挟んでいたピックを取り出した。




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