【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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58: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:26:38.29 ID:tCiOWLnR0

……

今日の収録もなんとか終わり、帰り支度をしていたところに杏奈ちゃんがやって来た。

杏奈「あの、百合子さん。今日、収録前に聞きたいことがあったんだよね」

百合子「杏奈ちゃん……」

私が杏奈ちゃんに聞こうと思っていたことは、スポーツバラエティのチーム替えについてだった。でも今はその謎も解けて聞きたいことはもうない。けど代わりに言いたいことがあった。

百合子「あの、杏奈ちゃん……ごめんね」

杏奈「え?」

百合子「杏奈ちゃんは本気でトップアイドルを目指しているのに、私はそれに気付かず足を引っ張るような事ばかりして。スポーツバラエティだって、本当は杏奈ちゃんも得意分野じゃないのに、私がさらに負担になるようなことをしちゃったら、ますます――」

杏奈「待って!どうして、どうして百合子さんが謝るの?」

百合子「どうしてって?杏奈ちゃんは間違ったことなんて何一つしてないのに、私が……」

杏奈「百合子さん……違うよ。謝るのは杏奈のほう。杏奈が勝手に百合子さんも同じ思いで、同じ努力をしていて、それなら杏奈にも変えられると思っただけなの。」

杏奈ちゃんの表情が急激に曇る。
雨を多く含んでいて、水を放出するのを今か今かと待ちわびる積乱雲のように

百合子「杏奈ちゃん?それってどういう?」

杏奈「でも間違いだった。百合子さんに嫌われるのは覚悟していたけど、百合子さんを追い込むとは思わなかったです。ごめんなさい。……杏奈、友達失格だよね?ごめん」

豪雨が降り始めた。しかしそれは驟雨だった。
杏奈ちゃんは2人だけの控室を飛び出していく。

杏奈ちゃんは泣いていた。

私は杏奈ちゃんの言っていた言葉が引っ掛かって、追いかけることができなかった。

『百合子さんも同じ思いで、同じ努力をしていて、それなら杏奈にも変えられる』

確かに杏奈ちゃんはそういった。それはどういう意味だろう?もしかして私はなにか重大な思い違いをしているのかもしれない。
杏奈ちゃんの泣き顔が頭に浮かぶ。ああ、私は何をやっているのだろう。
1人だけになった控室の扉が勢いよく開き、入ってくる人影がある

静香「さっき、杏奈がこの部屋から泣きながら飛び出したように見えたけど……って百合子、あなたも泣いているじゃない」

静香ちゃんが優しく私にハンカチを差し出す。
私はそんな静香ちゃんの顔をみる。元気がない。

百合子「ああ、静香ちゃん。元気がないけどどうしたの?」

静香ちゃんは肩を竦め、苦笑して答える。

静香「それは私のセリフよ」




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