【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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108: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:58:07.86 ID:tCiOWLnR0

お父さんのピアノはあの頃に比べて格段に上達していた。
ただ上手いだけじゃない、まるで奏者の優しい心がそのまま音になっているかのような、そんな旋律が私たちの心に温かい光を灯す。

特に取り決めをしたわけではないが、未来から始まり、私、翼、ジュリアさん、瑞希さんの順番で歌を繋いでいき、サビの部分でハーモニーを形成する。
楽しい。
思えばいつも時間の中で結果を残すことだけを考えてきた。でも今は違う。お父さんが、皆が心から素敵だと思える景色を表現しようと好きなように自由に腕を振るっている。
それぞれの思い描く景色は違っているのかもしれない、でもつなげ合わせるとそれは街のように一つの世界になる。
だがそんな世界を作るのはステージに立つものだけではない。
気付けば、観客たちは携帯電話のライトをサイリウム代わりにして、私たちの歌に合わせて揺らしている。元気を与える側の私たちに、逆に「大丈夫だぞ」といってもらっているようで、決して一方通行の世界ではないんだなと思った。
そうか、これが私たちの「ある小さな夜の曲」なんだ。
 まだ歌っていたい、と思った。でも時間は進んでいく。
以前なら時間を固定したいと思ったのかもしれない。
けど今は、進んでもいいと思った。
なぜなら私は――



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