93:名無しNIPPER[saga]
2018/01/06(土) 20:37:26.44 ID:eJvlprTto
*一時間後・自室
風「……ごめん、いきなり呼び出したりなんかして」
千景「昨日、私もあなたを呼び出したのだからお相子と言うものよ。それでどう言った用件なのかしら?」
千景(上里家を出て目的地へ向かう途中、風先輩からの着信があった。最初は不在着信も考えたが、結局通話を取り、こうして自室で顔を向かい合わせる流れとなっている)
風「……アタシ……もう、どうしたらいいのか……」
千景(彼女は酷い顔をしていた。今にも泣きわめきそうな赤子のような顔。それを辛うじて理性が抑えていると言った様子だ)
千景「……何があったの?」
千景(当然、先ほどの三ノ輪さんからの連絡で理由は察している。けれど、こんな惨状の人に非情な言葉を掛けられるほど私はまだまだ……非情にはなりきれていないようだった)
風「……満開の、後遺症は……治らない……だって! 勇者は死ねなかった! 先代勇者の話は本当だったんだッ!!」
千景「落ち着きなさい! ──と言っても難しいようね。自販機でミルクティーを買ってきているのよ、ひとまず一口でも飲んでおきなさい。……話はしっかり聞いてあげるから」
千景(考えることすら辛いのか、風先輩は言われた通りミルクティーに一口だけ口をつけた。そして、ポロポロと片目から水滴をこぼしていく。眼帯も水分を吸収しきれなくなったのか、間もなくそちらからもこぼれ出す)
風「アタシが……アタシが! ……ゆ、勇者部なんか作らなければ! ……皆、こんな目に……あわなくても……済んだ、はずで……」
千景「それはないわね。何故なら讃州中学には東郷美森と結城さんが居るのだから。先代勇者と勇者適正値最高値が揃っているのよ? 必ずお役目には讃州中学勇者部が選ばれていたはずよ」
風「……先代勇者……? え……誰が……?」
千景「東郷美森よ。彼女は先代勇者としてバーテックスと戦い、足の機能と記憶を失ってしまったのよ」
風「……え……。……ご、ごめん……多分、アタシ……今全然何も考えられなくて、よく分からなくて……」
千景「そう、なら分かりやすい言葉で言い換えましょうか」
千景「讃州中学勇者部のメンバーは皆、大赦によって仕組まれた者しか存在していないのよ」
風「……っ……!」
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