高嶋友奈「結城ちゃんは勇者である」
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64:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 22:28:51.44 ID:uJnylGQwo

風「千景から見て、乃木園子って言う先代勇者の話は……正直、どう思った?」

千景(やはりその件しかないわよね)

千景「それはさっきの話の真偽を確認するため?」

風「……ええ。もちろん東郷たちの話を信用していないわけではないわ。ただ、あの子たちは素直過ぎるから……大赦にも確認を取るつもり。幸い、あの場にはあんたも居たのよね? なら、千景には、勇者部で一番冷静なあんたには、昨日のやり取りがどう見えていたのか、それをアタシは知りたいの」

千景「随分と、過剰評価をしてくれていたのね?」

千景(芝居染みた動きで肩をすくめてみる。けれど、いつもだったら即時返ってくる犬吠埼姉の突っ込みはない)

風「ごめん、今のアタシはいつものような調子であんたに返す言葉を多分持っていないと思う」

千景(笑顔の気配すら見せずに固い口調で犬吠埼姉は言った。……なら、こちらもそれに付き合うまで、ね)

千景「……乃木園子の状況と台詞を、全て演技と考えるのは無理があるでしょうね。あまりにも大掛かり過ぎるし、そもそも勇者たちを呼び出せる段階で超上の、神樹側の人間であることは明らか」

千景(もちろん、昨日の乃木園子の台詞が真実であることを私は知っているから、この分析はあくまでも客観的な視点で見た場合のものとなる)

千景「そんな彼女であるのだから、その言葉にはおおよその真が含まれていると考えるのは自然でしょうね。嘘をつくメリットを見いだせないのだから。したがって、現時点の信憑性としても、そうね、七割以上と私は判断したわ。これが率直な私の感想よ」

風「……」

風「……そう、ありがと。……参考に、させてもらうわ」サァー

千景「ちょっと──」

風「ん、何?」ニコ

千景(今あからさまに顔から血の気が引いていたでしょうに……。何故、あなたは今も笑顔を張り付けるの……? そんなんじゃ、こっちだって……何も言えなく、なるじゃない……)

千景「……いえ、何でもないわ」

千景(結局私は、自身の後ろめたさも相まって、彼女の顔色について触れることは出来なかった)

風「……ごめんね、その、時間を取らせちゃって。悪いけど気が向いた時で良いから東郷と銀を気に掛けてもらえると助かるわ。……じゃあ、教室に行きましょうか」

千景(……空元気を出してもらったところ悪いけれど、私にはこれからの用事がすでに入っている)

千景「いえ、生憎だけれど、私用で私はこのまま欠席するわ」

風「私用……?」

千景「ええ──定期健診で通院する日なのよ」

千景(私は堂々と嘘をつく。犬吠埼姉はあっさり信じ、あまつさえ見送ってくれさえした。……本当に悪いわね、色々と)

千景(そして私は、偽らざる"病院"へと向かって行った)






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