8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/18(月) 23:35:49.79 ID:YUfqXVrMo
少女が膝立ちになってにじり寄り、男は離れようとその身を仰け反らす。
「そりゃあ招待状貰ったら寄ってみるよ。親戚の付き合いってモノもあるワケだし……」
「朗読会が終わった後、Pさんは私に言ってくれましたよね?」
そうして少女は――正に夢見る少女。恋に恋する乙女特有の顔をして――ほぅっと息を吐くように言ったのだ。
「"百合子、君を迎えに来た。今すぐお前が欲しいんだ"」
「違う。"招待ありがとう百合子ちゃん。さっきのステージも良かったよ"だ」
「そうしてこうも続けました。"長い間待たせてすまなかった。でももう大丈夫! 君を迎える準備はできたんだ"」
「それも違う。"最近会うことは無かったけど。相も変わらず可愛いね"だ!」
「"だから姫、結婚しよう!"」
「"これならウチのアイドルにだってなれるかも"だったろう!?」
いつの間にやら部屋の壁まで追い詰められ、男はその手にじんわりとした汗を掻いていた。
少女の方も膝立ちから、今は四つん這いのように前のめり。
「だから私はPさんに導かれるままオーディションだって受けたのに!」
「驚いたよ。まさかあの言葉を真に受けて従妹が来るとは思わない」
「面接だって頑張って、アイドルにだってなれたのに!」
「しかも案外成績良いんだもん。落とそうとしても落とせないし」
「なのにここまで私にさせておいて、それでも捨てるって言うんですか!?」
「いっ、言い方に少し気をつけないか! 別に百合子を捨てるつもりはない!」
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