2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/18(月) 23:22:40.30 ID:YUfqXVrMo
「Pさん、髪紐知らないんですか?」
「まさか」
「なら、別に訊かなくても――よいしょ」
少女は持参した卓上ミラーをテーブルの上にちょんと乗せ、
その隣にこれまた持って来ていたハードカバーの本を置き、
小首を傾げるようにして、可愛く鏡を覗きながら自身の髪をせっせせっせと編み込んでいく。
手慣れた手つきで進むその様子を、黙って見つめている男。
渡されたゴムを手持無沙汰気に伸び縮みさせ、作業が終わるのをジッと待つ。
「Pさん」
「ん」
「今日はゴム、つけてください」
言って、ニヤリと笑う少女。言われ、ニコリと笑う男。
二人はしばし微笑み合い、男は爽やかな笑顔のまま少女に手刀を振り下ろす。
「このアホめ!」
「あ痛ーっ!? どうして突然ぶつんですか!」
「朝から下ネタかますんじゃない! ゴムなら『結んでください』だろ!!」
「ゴムはゴムでも輪ゴムですよ! ほら、"今日、わゴムつけてください"って」
「いけしゃあしゃあとこの娘は……! イントネーションから違ったろうに」
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