【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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87:名無しNIPPER[saga]
2018/01/07(日) 18:25:36.05 ID:ZtE3BbpK0

………………

 フレンにとって、アンリミテッドはただ憎むべき敵だった。

 住んでいた世界を飲み込まれ、知らない世界に放り出されたのだから当然だ。

 アンリミテッドが憎い。憎くてたまらない。アンリミテッドは、フレンの大切なものをあまりにも多く奪いすぎたのだ。

「ゆうきの、ばか……」

 やっぱり、当事者でなければ分からないのかもしれない。この悲しみ。この憎しみ。この、どうしようもないほど悔しい気持ちは。だからきっと、ゆうきも、怖くなって逃げたのだ。

「……ねえ、フレン。どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?」

 帰り道。ブレイと一緒に抱えられるようにして、フレンはめぐみの腕の中にいた。鞄に入れて運ぼうとするめぐみに、こうしてほしいと頼んだのだ。理由は恥ずかしくてもちろん言えないが、めぐみの体温を感じていないと不安だったからだ。

「だって、ゆうきが……」

「王野さんがプリキュアをやめてしまったから?」

 頭上から降ってくるめぐみの声は優しさそのものだ。

「……ニコ」

「そうね。王野さんがやめてしまって、少しさみしいわね」

「さ、さみしいなんて言ってないニコ!」

「あら、じゃあなんでそんなに悲しそうなの?」

「それは……プリキュアをやめるゆうきに怒ってるからニコ!」

「でも、怒ってるようには見えないわ」

 何をバカなことを、と怒ることもできなかった。めぐみの言っていることがまさしく本当のことだと、フレンにも分かっていたからだ。

「……でも、怒ってもいるニコ」

「ええ。それだけ、王野さんのことが好きだったのね」

「…………」

「助けてくれるって信じてたから。一緒に戦ってくれるって信じてたから。それだけ、王野さんのことを信じていたから、そんなにやるせないのよ」

「……そうかもしれないニコ」



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