【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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70:名無しNIPPER[saga]
2017/12/31(日) 10:27:27.12 ID:0m/dVbvg0

「……弱虫」

 か細い声が放たれた。フレンが、めぐみの手の中から、声を絞り出していた。

「ゆうきの、弱虫!」

「…………」

「あいつは、ロイヤリティを滅ぼした張本人ニコ! 言葉なんか届くはずがないニコ……!」

 それは、泣きながら放つ小さな声だった。けれど、それがゆうきの心の奥底まで、深く突き刺さった。

「フレンだって怖かったニコ! でも、めぐみの言葉を聞いて、一緒に戦おうって思えたのに……あんたは、どうして戦ってくれないニコ!」

「……だって、わたしは……」

 フレンは大声を上げて泣き出した。フレンに胸を貸し、背中をなでさするめぐみが、ゆうきに冷めた目を向ける。

「……一日、考えなさい。あなたがどうしたいのか。どうなりたいのか。この子の涙も、あなたの考え方も、全部含めて、答えを出して」

 その声には先までの温かみは、なかった。

「使命感なんて持つ必要はないわ。私は……たとえひとりでも、この子たちと共に戦うから」

 めぐみはそれきり、何も言わなかった。フレンを慰めながら、行ってしまったからだ。

「わたし……」

「…………」

 ブレイはゆうきの手の中で、まだ震えていた。ひとり立ち尽くすゆうきに、声をかけてくれる者はいない。自分が何をしたのか、何をしてしまったのか、それすらも分からない。

「わたしは、弱虫……。わたしに、勇気なんてないのかな」

 腕にきらめく桃色のロイヤルブレス。それが、自分に似つかわしくないものに思えてくる。それをつける者は、どこか別にいるのではないだろうか。自分は、キュアグリフを騙るニセモノなのではないか。

 自分には、プリキュアになる資格などないのではないか。

 自分には、ブレイとフレンを助ける資格などないのではないか。

「…………」

 答えは出ない。何も分からない。

 ゆうきはゆっくりと鞄を取り、教室へ向かった。

「うぅ……っ……」

 手の中で震える、自分の居場所を奪われた、小さな小さな存在の、その体温を感じながら。



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