【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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640:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:12:43.95 ID:sW82/1G70

…………………………

 朝の職員室は戦場だ。生徒の欠席連絡や教員からの服務事項の連絡で、電話線がパンクする勢いだ。そしてそんな朝の電話を取るのは、若手教諭の仕事だ。このダイアナ学園に若輩の教諭に電話番をやらせるような文化はないが、若手たちは年配の先生方に電話を取らせる気まずさを厭って、自ら率先して電話に手を伸ばす。

「……はぁ。今日電話取るの何件目だよ。つか、今日誰かいないな?」

 いつもより電話を取る回数が多くて、勤務時間前の雑務が終わらない。松永先生は通話を終えて受話器を置くと、周囲を見回す。郷田先生、誉田先生は受話器相手に何事か会話をしている。その近くにいるはずの、皆井先生が見当たらない。と、

「……おはようございます、松永先生」

「ああ、皆井先生、おはようございます……って、どうしたんですか? すごい隈ですね」

「ああ……。昨日、全然寝られなくてね……」

「また悩み事ですか?」

 皆井先生は自席に着くと、首を振った。

「いや、夢を見ていた……。嫌な夢だったな。自分が怪物になり、女の子たちに腹に穴を空けられ、燃やされ、両断された」

「……すげえ夢っすね」

「元は昨日の昼に見た白昼夢なのだけどね。夜にまったく同じ夢を見たんだ……」

 そう言う皆井先生は、今にも倒れそうな様子で雑務を始めた。と、電話のベルが鳴る。慌てて受話器を取ろうとすると、皆井先生が先に受話器を取った。

「……遅れてきたのだから、少しくらいやらせてください」

 受話器をふさいで、皆井先生は小声でそう言った。そのまま、耳に当てた。

「おはようございます。ダイアナ学園です」

 そんな皆井先生を見て、松永先生は決して本人に聞こえないように、小さく呟いた。

「……そういうところがあるから、すごいと思うんだよな。この人」

 直接言ったらすぐ調子に乗るから、絶対に本人には言わないけれど、それはまぎれもなく松永先生の本心だ。

 何か落ち込むようなことがあっても、夢見が悪くて眠れていなくても、それでも自分にできることを一生懸命やろうとする。

 そんなところが、松永先生が見習いたいと思う、皆井先生のいいところなのだ。



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