【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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637:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:11:22.82 ID:sW82/1G70

「……っ」

 ふらりと、身体中の力が抜ける気がして、グリフは膝をついた。周囲を見渡せば、ユニコとドラゴもまた、ひざまずいて、肩で息をしていた。全員が全力で必殺技を放ち、ようやくウバイトーレ一体を浄化することができたのだ。

 もしも、この場にもう一体ウバイトーレが現れたら。

 いや、今、自分たちが弱っているこの瞬間に、アンリミテッドの幹部が現れたら――、



「――三人しかいない現状で、よくあのウバイトーレを退けられたものだ」



「ッ……!」

「デザイア!」

 恐れていた事態が、最悪のカタチを伴ってやってきた。消えたと思われたデザイアが、はるか頭上、校舎の屋上からプリキュアたちを見下ろしていた。そして、その傍に控えるのは、ゴーダーツ、ダッシュー、ゴドーの三幹部だ。

 いま、この消耗しきった状態で、デザイアを含めたアンリミテッドの幹部と戦う余裕はない。疲れ果てた身体は、立ち上がることはおろか、カルテナを握ることすら難しいほどに消耗している。

「ふっ……。なんともまぁ、絶望に暮れるような顔をしているな。安心しろ。いま、我々は貴様らと戦う気はない」

 デザイアが言う。その言葉に反応したのは、ダッシューだ。

「なぜです? いまこの場でプリキュアを倒してしまえば、すべて終わることでしょう?」

「ダッシュー!」

 ゴーダーツのたしなめるような声が飛ぶ。しかし、ダッシューは構わず続けた。

「デザイア様の生み出したウバイトーレが弱らせたのでしょう? なら、今ここでデザイア様があの三人と妖精から紋章とブレスを奪い取れば、それで済む話ではありませんか」

「……なるほど。貴様の言い分ももっともだ」

 デザイアが納得するように言う。

「しかし、“私はそうしたいとは思わない”。それだけだ」

「なっ……」

 デザイアの言葉は、どこまでも淡泊だった。滅多なことでは感情を見せないダッシューが顔を歪め、腰につけたはさみに手を伸ばした。

「……やめておけ。我々で敵うお方ではないとわかっているはずだ」

「っ……」

 その手をゴーダーツに掴まれて、ダッシューは平静さを取り戻したようだった。ゴーダーツの手を振り払い、そっぽを向いた。



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