【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/06/24(日) 10:10:28.26 ID:sW82/1G70
「……大丈夫だよ。あとはわたしに任せて」
前に出たのはキュアドラゴだ。よろよろとよろけるウバイトーレに向かい、精神を集中する。心の中から湧き上がる情熱の炎を、まっすぐに、相手に届かせるように。
「……わたし、皆井先生の不器用なところ、好きですよ」
ぽつぽつと、ドラゴは口を開く。
「少しゆうきと似てるし、めぐみとも似てる気がするんです。空回りしちゃうところとか、口下手なところとか」
自然と笑みが洩れる。心の中が、皆井先生を救い出したいという気持ちでいっぱいになる。その情熱により生み出される炎は、苛烈だが、優しく、美しい。
「だから、戻ってきて欲しい。先生のそういうところが好きな生徒、他にもたくさんいると思うから」
だから、と。ドラゴは胸の内の情熱を解放した。
「情熱の光よ、この手に集え」
心静かに。けれど、心を燃やして。静かな中に宿る、高尚な情熱を、纏わせるように。
「カルテナ・ドラゴン」
苛烈な力を持つ情熱の剣が炎の中から現れる。
「天翔る烈火の飛竜、ドラゴンよ。プリキュアに力を」
紅蓮の炎を付き従え、まるで天高く空を駆けるドラゴンのように、ドラゴは跳んだ。
「プリキュア・ドラゴンストライク」
放たれた必殺の炎弾は、ウバイトーレに直撃した。プリキュアたちの浄化の力を二回連続で浴びたウバイトーレはしかし、それでもまだ立ち上がる。
『ウバッ……アアアアア……』
「うそでしょ……」
ドラゴは間違いなく、ドラゴネイトを使い、現時点で放てる最強の炎を放ったのだ。それでもまだ立ち上がるウバイトーレは、一体どれほどの力を持っているのだろう。デザイアの言った、昨日のウバイトーレの比ではないという言葉は、ウソでも何でもなかったのだ。
腹に穴を空けながら、身体を燃え上がらせながら、それでもなお、ウバイトーレは立ち上がる。
『……なり、たい……』
「えっ……」
ウバイトーレから、人間の声のようなものが聞こえた。けれどそれは、ウバイトーレから放たれたことばではなかった。ウバイトーレの横に浮遊する、牢獄に囚われた皆井先生から放たれた言葉だった。それはきっと、ウバイトーレを介して流れ込んでくる、皆井先生の心そのものなのだろう。
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