【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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616:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:00:36.87 ID:sW82/1G70

 女子生徒からそれなりにイケメンと評されることの多い彼だが、やや空気を読めない性格とついうっかり失言をしてしまう特質から、女子生徒からは憧れというより色々と残念な人というレッテルを貼られている先生だ。この学校にそれを理由に先生を舐めてかかるような生徒はいないものの、その自覚があるからこそ、彼はつらい。

 色々と残念なことや、失言を繰り返してしまう自覚くらい、皆井先生自身にもある。

 とぼとぼと歩いて、ようやく木工室の前までくる。

 書類を渡す相手は、木工室で授業をすることが多いから、隣の技術準備室にこもりきりなことがある。木工室は校舎の一番奥にあるから、職員室から遠く、校長先生は木工室へ行くのを厭って皆井先生にお遣いを頼んだのだろう。

「まったく、仕方ないよな……」

 皆井先生はそして、木工室の引き戸に手をかけ――、




「――小次郎くん」



 木工室の中から聞こえた、その声。

 そう声はどこまでも親密そうで。

「その呼び方はやめろって言ってるだろ、華姉」

 そう返す声は嫌そうでいて、その実嬉しそうで。

 ああ、そうか、と。

 彼は気づいてしまった。

 己の恋は叶うことはないのだ、と。

 叶わぬ恋を、己は捨てなければならないのだ、と。

 彼はゆっくりと引き戸を開け、中を覗く。


 皆井浩二。


 20代も中盤にさしかかった男性教諭。

 彼は昼休みの木工室で、きゃっきゃと楽しそうに同僚と話をする想い人を、見てしまったのだ。



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