【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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563:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 21:59:57.72 ID:sptbJ6v70

「ッ……!?」

 気配などまるで感じなかった。廊下の奥から、コツコツと音を立ててこちらへ歩いてくる人影。それは、仮面をかぶった、漆黒の出で立ちの、華奢な紳士だ。

「で、デザイア!?」

「どうしてここにいるニコ!?」

 ブレイとフレンがうめく。その声を聞いて、ようやくあきらは理解した。

 こちらに近づいてくる漆黒の仮面の紳士。それこそが、ゆうきとめぐみが何度も敗北を喫した、アンリミテッド最強の騎士、デザイアなのだと。

「お初にお目にかかる。情熱のプリキュア、キュアドラゴ。私がアンリミテッド最高司令官、暗黒騎士デザイアだ」

「……はじめまして。美旗あきら。キュアドラゴです」

 歩を止めたデザイアに、あきらも油断なく身構える。

「安心すると良い。私は変身できない貴様に危害を加えるつもりはない」

 仮面の下の表情を窺い知ることはできない。しかし、そのデザイアの言葉に、嘲笑の響きが含まれていることは、嫌でもわかった。

「しかし、変身できぬとは、情熱のプリキュアが聞いて呆れるな。貴様の情熱はその程度なのか?」

「あ、あきらを馬鹿にしないでほしいドラ!」

 あきらに抱かれたまま、パーシーが身体を震わせる。

「聞かぬよ、情熱の王女。貴様もまた、大した情熱だ。なにせ、せっかく伝説のプリキュアになってくれた美旗あきらから、何も言わずロイヤルブレスを受け取ってしまったのだからな」

「ど、ドラ……」

「情熱の王女。貴様は、己のために戦ってくれている美旗あきらを信じることができなかったから、ロイヤルブレスを受け取ったのだろう?」

「ち、違うドラ。パーシーは、あきらがこれ以上傷つくのを見たくなくて……」

「表面上はそうであろう。しかしそれは即ち、美旗あきらのことを信じることができなかったということだ」

 そのデザイアの言葉は、きっと正しい。

 あきらは、自分のことが信じられなくて、パーシーに情熱のロイヤルブレスを返した。

 パーシーもまた、あきらが今はまだキュアドラゴの力を使いこなすことはできないだろうと思い、何も言わず受け取ってくれたのだろう。

 それは言葉を変えれば、デザイアの言うとおり、パーシーはあきらがキュアドラゴの力を扱えると信じてはくれなかったということでもある。

「……言い方はいくらでもできると思うよ」

 言葉を変えれば、いくらでも言いようはある。だからあきらは、平静にそう言うことが出来た。

「パーシーはわたしのことを想って、ロイヤルブレスを受け取ってくれたんだよね。わたし、すごく心強かったよ」

「あきら……」

 あきらはパーシーたち四人の妖精を廊下に下ろした。

「下がってて。わたし、デザイアと話さなきゃいけないことがあるんだ」

 パーシーたちは心配そうな目をあきらに向けていた。やがて頷くと、四人は廊下の向こう、隅の柱に隠れた。



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