【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/04/22(日) 20:51:33.92 ID:TS+ShyS90
ちらりと、誉田先生を盗み見る。私も手伝うわ! と言って箒を持って掃いている誉田先生は、こんな埃っぽい木工室にいても、どこか上品な美人さんだ。松永先生とは仲睦まじそうに見えるが、たしかにあの冴えない技術の先生に、誉田先生が釣り合うとは思えない。
「……よし」
「? ゆうき、どうしたの?」
「わたし、聞いてみる」
「えっ……? あっ、ゆうき……」
ゆうきはゆっくりと誉田先生に歩み寄った。床の木くずを集めていた誉田先生は、ゆうきに気づくと、微笑んだ。
「あら、どうしたの? 王野さん」
「……誉田先生におたずねしたいことがあります」
「何かしら?」
ゆうきは勇気を出して、問うた。
「“小次郎くん”って、何ですか?」
「えっ? ……ああ」
誉田先生は一瞬、虚を突かれたような顔をして。
「……ごめんなさい。生徒の前でする呼び方じゃなかったわね。先生、ちょっとおふざけがすぎちゃったかもしれないわ」
誉田先生は恥ずかしそうに笑う。
「気にしないで。プライベートな呼び方なの。友達に言っちゃダメよ?」
誉田先生は茶目っ気たっぷりにそう言った。
「ぷ、プライベート、って……」
ゆうきは、ためらいながらも、質問を続けた。普段のゆうきなら絶対にしないことだが、今ばかりは、気になって仕方がなかったのだ。
「ひ、ひょっとして、誉田先生と、松永先生って、その……お付き合い、してらっしゃるんですか……?」
「……? えっ?」
誉田先生が心底不思議そうな顔をする。
「わ、私が、松永先生とお付き合い……?」
直後、誉田先生が声を上げて笑いだした。
「……ふふ。ああ、そっか。多感なお年頃だものね、王野さん。ごめんなさい。ヘンな勘違いをさせてしまって」
「勘違い……?」
「幼なじみなの。私のほうが少し年上だけど、家が隣同士で、昔から“小次郎くん”って呼んでたから、ついつい出ちゃうのよね」
「えっ? じ、じゃあ、誉田先生は、松永先生と恋人同士じゃ……」
「ないわ。ただの仲良しの幼なじみよ」
視界を覆っていたモヤモヤが晴れるような気分だった。ゆうきはほぅと大きくため息をつき、つい、思ったことを口に出してしまう。
「……よかった」
「……? よかった、って?」
「えっ!? あ、いや……なんでもないです」
「……あらあら」
誉田先生は笑って。
「小次郎くんってば、モテるのね」
考えていることを読まれているようで、ゆうきは頬が熱くなる。鏡を見なくても分かる。顔は絶対、真っ赤になっていることだろう。
ぽん、と。両側から肩が叩かれる。めぐみとあきらが、うんうんと頷きながら言った。
「よかったね、ゆうき」
「これで片思いを続けられるわね」
「や、やめてよぅ……。恥ずかしいんだから」
ゆうきはますます顔を赤くして、生暖かい笑みを浮かべる友達と先生から離れて、ひたすら掃除に没頭した。
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