【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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494:名無しNIPPER[saga]
2018/04/22(日) 20:50:14.90 ID:TS+ShyS90

「王野さん?」

「ひゃいっ!」

 唐突に声がかけられて、びくりと身体が反応する。誉田先生が優しく微笑んでいた。

「製作は順調?」

「は、はい。今のところは、しっかりできてます。……松永先生の、おかげで」

 精一杯の抵抗のつもりだった。優しく微笑んでいる、美人でスタイルも頭も良くて、優しくて頼れる、みんなの憧れの、誉田先生に対しての。誉田先生は面白そうな顔をして、近くの松永先生を肘で小突いた。

「へぇー。小次郎くんも、きちんと先生やってるのね。私も鼻が高いわ」

「なんであんたの鼻が高いんだよ。いいから、用事が終わったなら帰れ。俺は王野の居残りで忙しいんだ」

「……はいはい、わかったわよ。じゃ、王野さん、残りもがんばってね。応援してるわ」

 誉田先生はそう言い残し、木工室を後にした。

「ありがとう、ございます……」

 対抗したつもりが、返り討ちに遭ったような心境だった。

 肘で小突くくらい、親密な仲なのだろう。

 名前で呼ぶくらい、親密な仲なのだろう。

 そんなこと、火を見るより明らかなことだ。

「さ、じゃあ邪魔者もいなくなったことだし、作業の続きをするか」

「…………」

「? 王野? どうした?」

 松永先生の声も聞こえていなかった。ゆうきは、明確に言葉を思い描くのをためらったが、無駄なことだった。

 ゆうきの中でも、それはもう間違いないことだった。

(松永先生と、誉田先生は、きっと、とっても親密な……恋人同士……)

 ゆうきは疲れも相まって、がくっと机に突っ伏した。

「お、王野? 大丈夫か?」

 松永先生の声が遠く聞こえた気がした。けれど、ゆうきは何も考えたくはなかった。

(わ、わたしの初恋、一時間と保たずに終わった……)

 その日は結局、それ以上の作業はできず、ゆうきはいつの間にか木工室にやって来ていためぐみとあきらに付き添われて、帰路についた。



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