【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
↓
1-
覧
板
20
412
:
名無しNIPPER
[saga]
2018/04/01(日) 10:05:53.03 ID:TVNRAefO0
…………………………
この世界の日差しは嫌いだ。
ポカポカと暖かくて、昔のことを思い出してしまうから。
「ふぅ……今日はこのくらいでいいかな」
このダイアナ学園の中庭は、しばらく専門の業者が入っていなかったというだけあって、彼が直すところばかりだった。彼が赴任して数週間が経って、ようやく彼の思うとおりの庭を作る、基礎ができてきた。
「ま、どうでもいいことだけどね」
彼はそれだけ言うと、剪定のための道具一式を倉庫に片付けた。彼には今まさに、成さなければならないことがあるからだ。
「あら、今日はもう終わりなの?」
「っ……!?」
背後から声がかけられる。慌てて振り返ると、そこにはとぼけた顔をした、質素な風体の女性が立っていた。質素な格好ではあるが、スタイルから顔立ちまで、恐ろしいほどに整っていて、どこか気品すら感じさせる女性だ。
「……ひなぎくさんでしたか。パンの販売ですか」
「ええ。今日から、自家製のクッキーと紅茶、コーヒーの販売もするわ。シュウくんもぜひ来てね」
「相変わらず商魂逞しいことですね」
彼は片付けを終え、ひなぎくさんに向き直った。
「残念ですが、今日は午後から休暇を頂いているんです。少し、用事があるもので」
「そう?」
彼女はにこりと笑う。すっと、彼に避ける暇も与えず近づき、耳元で囁く。
「焦ってはダメよ? しっかりとやりなさい」
空気が変わったように彼には思えた。顔は笑ったままだが、声はどこまでも冷たい。それは、彼が恐れる上司そのものだ。
「……ふん。やはり、あなたはぼくの動向を把握していたのですね」
「ふふ。だって私はあなたの家主だもの。当然よ」
「あなたに言われるまでもない。後藤さんのようなヘマをするつもりはありません」
「そう。安心だわ」
ひなぎくさんはゆっくりと彼から離れた。
「安心して。もしもゆうきちゃんたちが向かっても、私が止めるわ」
「……御自ら出撃されるのですか」
「全力を出すつもりはないわ。ただ足止めをするだけよ」
ひなぎくさんはそう言うと、身を翻し、ひらひらと手を振った。
「それじゃ、がんばってね、シュウくん」
「……ええ。ひなぎくさんも、パンの販売、がんばってください。紅茶とクッキーも売れたらいいですね」
「ありがと」
その姿は、本当にただの学校に出入りする業者さんだ。それでも、その内に内包する闇は、彼を遙かに凌駕する。
「……ふん。ただの腑抜けになったようではなくて、安心したよ」
彼はニヤリと笑う。
「どういう風の吹き回しか分からないけど、協力してくれるというのなら、利用させてもらうだけさ」
ドクン、と。胸に隠してあるエスカッシャンが胎動する。
「……おや、王女様はお出かけになるのかな。都合がいいことだ」
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
647Res/1111.54 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
書[5]
板[3]
1-[1]
l20
【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】-SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513432793/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice