【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/02/25(日) 22:30:08.07 ID:LVapeV8q0
…………………………
ある、朝のこと。ダイアナ学園、2年B組の教室は、普段とは違うざわめきに包まれていた。
そのざわめきの中、生徒会長候補のひとり、騎馬はじめは、自分のことを見失いつつあった。
はじめは、今まで、自分で自分のことを正しく認識できていると思っていた。
今まで、一度とて自分の考えや行動の理由がわからないことなどなかった。
しかし、その日、その朝、それが初めて崩れた。
「――今日からこのクラスの仲間になる、後藤鈴蘭さんだ。みんな、仲良くするように」
朝のホームルーム。唐突な転入生の紹介があった。ニコニコと体裁の良い笑顔を浮かべる、担任の皆井浩二先生。失礼な話ではあるが、黙っていればそれなりにイケメンなのに、口を開くと三枚目になると評判の先生だ。年頃の女子生徒たちから黄色い歓声こそ浴びることはないが、親しみと尊敬を込めて、浩二先生と呼ばれている。
「…………」
そして、そんな皆井先生のすぐ隣で、不機嫌そうな顔を隠そうともしない、当の転入生。
真っ黒な髪に、真っ黒な瞳。肌は病的なまでに白く、足も腕も細い。しかしその佇まいは、どことなく上品だ。
意志の強そうなつり上がり気味の目は、クラス全体を睥睨しているようだった。口は硬く真一文字に結ばれ、にこりとする気もなさそうだ。
「では、後藤さん。簡単に自己紹介をしてくれるかな」
そして顔立ちは整っているがどこかズレた担任、皆井先生はそんな転入生の様子に気づかない。鈴蘭はちらと面倒くさそうに皆井先生を見てから、諦めたように口を開いた。
「……後藤鈴蘭。よろしく」
「はい、じゃあみんな、拍手で迎えてあげよう!」
きっと緊張しているだけだろう、と。人の良いクラスメイトたちは、皆井先生の音頭のとおり、手を叩く。もちろんはじめも手を叩いた。心から、彼女を歓迎する気持ちで。
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