【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
1- 20
31:名無しNIPPER[saga]
2017/12/24(日) 10:36:10.16 ID:3zYuh2uB0

 それは、闇の産声。

 この世界のすべてを欲する、雄叫び。

 邪悪な存在の、誕生だ。

「……さぁ、これで減らず口も叩けまい。おとなしく来てもらおうか、王子、王女」

 電柱ほどの大きさもある怪物。それはあまりにも陳腐で、ステレオタイプな化け物だった。

「……っ!」

 覚悟を決めるために、2秒。

 決断するのに、もう1秒。

 最後に、実行するのに、ほんの少し。

「ブレイ! フレン! しっかり掴まっててね!!」

 怖かった。けれど、そうしなければならないと思った。

 だからゆうきは、男と怪物に背を向け、全速力で走り出した。

「なにっ……」 背後から、男の声が響いた。「追え、ウバイトール! 王子と王女以外は潰してしまって構わん!」

『ウバイトォォォオオオオオオオオオル!!』

 地響きがした。振り返らずとも分かる。あの怪物が、他でもない自分を追ってきているのだ。

「ゆうき……?」

「逃げるって、アイツらからだね?」

「そ、そうグリ。けど……」

「ば、ばか! これ以上関係ないあんたを巻き込むわけにはいかないニコ! 早くフレンたちを置いて逃げるニコ!」

「やだよ」

「ニコ!?」

 ゆうきのにべもない言葉に、フレンが素っ頓狂な声を上げる。

「バカなのニコ!? ううん、あんた本物の馬鹿ニコ!」

「はは、そうだね。でも、あなたたちを置いていくのはいやなんだ。なんとなく、あなたたちを助けてあげたいって思ったから」

「なんとなくって……意味わかんないニコ!」

 そんなのフレンに分かるわけもないだろう。なんせ、ゆうき本人にだって分からないのだから。

 けれどそんな決意をしたところで、ゆうきの身体が強くなるわけではない。だんだん息が上がってくる。

「あっ……あそこに隠れるよ!」

 道路の横に現れた児童公園。ゆうきは半ば頭から突っ込むように、その生け垣に飛び込んだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
647Res/1111.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice