【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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290:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 19:20:27.69 ID:nI3CgSSH0

…………………………

「ロイヤリティと無関係のホーピッシュの人間までもが、我々アンリミテッドの位相に巻き込まれたか」

 広範囲に広がっていた闇は収束し、世界は元の色を取り戻した。この世界はもはや、必ずしも希望の世界ホーピッシュであるとはいえない。アンリミテッドの侵攻は、ゆっくりと、しかし間違いなくホーピッシュを闇に塗り替えつつあった。

「王野ゆうきの妹は、王野ゆうきからロイヤリティの影響を受けたため、アンリミテッドの位相にまぎれこんだ、と考えるべきか」

 光にも闇にも、近づけば近づくほどそのどちらの影響も受けやすくなる。プリキュアたちがアンリミテッドの位相で戦うことができるのは、光の戦士そのものだからだ。そしてその光の戦士に近しい存在ほど、闇の影響も受けることになる。

「この世界にも闇が広がっている。悪くない気配だ。ホーピッシュが我々の闇に飲まれる日も近い」

 空高くからほまれ町を見下ろす小柄な影。アンリミテッドの最高司令官、暗黒騎士デザイアは満足げに言う。

「やはり見込んだ通りであったな。ゴドーの闇は、規模だけで言えば私以上だ。ゴーダーツもまた、あの剣の腕ならばプリキュアも容易に歯は立つまい」

 デザイアは戦いの一部始終を眺めていた。ゴーダーツが現れなければ、ゴドーを回収して撤退するつもりだったが、その手間が省けた。アンリミテッドがさしたる打算もなく仲間を助けるという光景を見ても、デザイアはさして動じることはなかった。

「……あの忠義の騎士ならば、さもありなん、か。頼もしいが、難儀な男だ」

 デザイアはそう呟くと、やや大きな声を出した。

「そしておまえの狡猾さも頼もしい限りだよ、ダッシュー」

「……気づいてらっしゃったんですか。さすがはデザイア様」

 虚空から姿を現すダッシュ−。慇懃無礼な態度で頭を下げる。部下ではあるが、気を抜けばデザイアの寝首すらかくかもしれない相手だ。だが、デザイアの言葉の通り、その狡猾さはホーピッシュ侵攻の重要な武器だ。

「失礼をいたしました。ところで、しばらく単独行動をさせていただきたいのですが」

「貴様の目論見は大体分かっている。それは構わんが、しばし待て」

 ダッシューは表面上デザイアに忠誠を誓うアンリミテッドの戦士だが、その欲望は底が知れない。ゴーダーツやゴドーのようなある種の単純さがない。油断のならない相手だ。

「待て、と言われますと?」

「ゴーダーツとゴドーを招集し、アンリミテッドで待て。準備ができ次第、貴様らに命令を下す」

 ダッシューの目が不審げに動く。

「命令? 我々は今まさに、プリキュア撲滅、およびロイヤルブレスと紋章の回収命令を実行している最中だと思いますが」

「その通りだ。だが、それに平行して貴様らに頼みたいことがある」

 デザイアは腕を振った。放たれたのはカードだ。ダッシューはそれを受け取り、見た。それは、身分証のようだった。

「……なんですか、これは」

「追って詳細を伝える。貴様らには、ホーピッシュ攻略のための戦略的命令を下す。端的に言えば、そうだな」

 デザイアは仮面の下で笑った。

「――貴様らには、ホーピッシュに長期的に潜入してもらう」

 ダッシューが受け取ったカード。そこには、こう記されていた。

 曰く、『ダイアナ学園専属庭師兼主事 蘭童シュウ』と。



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