【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
1- 20
288:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 19:19:06.79 ID:nI3CgSSH0

…………………………

 夢を見ていた。どこから夢なのか、分からないけれど、夢を見ていた。

 気の強そうな女の子にプレゼントを奪い取られて、巨大な怪物が現れて、そして、そこからよく覚えていない。ただ、うつろな意識の中で、姉によく似たお姉さんが、自分を抱えて戦ってくれていたのを見た。優しくて、頼もしくて、大好きな姉にそっくりで、夢の中だと分かっていたけれど、ともえは嬉しかった。

 ああ、自分はお姉ちゃんのことが大好きなのだと。

 そして、お姉ちゃんはきっとこんな風に自分を守ってくれるだろうと。

 そう、思えたから。

 少し昔の夢も見た。

 きっと自分がまだ小学校にも上がっていないような頃の思い出だ。

 姉が買ってもらった髪留めがうらやましくて、ともえはワガママを言ったのだ。

『あたしもほしい! おねえちゃん、ちょうだい!』

 姉は困ったような顔をして、少しためらいはしたものの、ともえの髪にその髪留めをつけてくれたのだ。

 大切にしていた髪留めは、小さい頃、姉からもらったものだった。

 今の今まで忘れていた、そんな記憶が、夢の中に現れたのだ。

「ん……」

 夢から覚めて、まどろみの中で、ともえは温かい何かにくっついていた。誰かの背中だ。ともえは、誰かにおぶさっている。

「あの、大埜さん、ほんとにごめんね」

「そんなに何度も謝らなくていいわよ」

 ふたりの声が聞こえた。姉と、姉の友達の声だ。ああ、そうか、とまどろみの中で気づく。ともえは、ゆうきにおぶってもらっているのだ。

「それより、せっかく名前で呼んでくれたのに、また戻ってる」

「えっ? あっ……」

 じれったい会話だと思う。そのまま、姉に甘えて眠ってしまおうとしていたというのに、だんだんと意識が覚醒に向かっていく。

「ご、ごめん……」

「どうして謝るのか分からないけど……」めぐみは笑うような声だ。「わたしとしては、親友なら、ゆうきに名前で呼んでほしいかな」

「ほんと!? いいの!?」

 がばっと姉が動く。まぶしいのを我慢してそろりと目を開けると、ゆうきがめぐみの手を取っていた。姉は人付き合いもそこまで器用ではないだろうに、こういうところは大胆というか、何も考えていないのだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
647Res/1111.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice