【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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246:名無しNIPPER[saga]
2018/02/11(日) 18:20:42.91 ID:Vt5kauhK0

…………………………

 ともえが物心ついたころ王野家は本当に普通の家庭だった。

 普遍的な、ごくありふれた、けれどとても幸せな家庭だった。

 お母さんは家にいて、お父さんは遅くなる日もあったけれど、毎日家に帰ってきて。

 お姉ちゃんはやさしくて、弟はまだ小さくて。

「…………」

 ふと、とっても近い過去、今朝のことを思い出す。

 姉の部屋から転がったのだろうか。廊下に落ちていたぬいぐるみを拾った。気になって持ち上げてみると、ほのかに温かい気がする。それに、むくむくの毛並みもどことなく本物といった風情だ。どこか気品のようなものも感じられる。

 きっと高いものだ、と思った。

 それに姉は、あのとき「とても大事なものだから」と言った。

 どうしてそんなものをお姉ちゃんが?

 理由は分からなくて、けれど少し腹が立ったから、姉にまたあんな態度を取ってしまった。

 後悔しているわけではない。自分が姉にいたずらをするのは今に始まったことではない。けれど、何かここ最近の自分は、おかしくはないだろうか。

「はい、ともえ」

「へ?」

 そんなことをぼーっと考える小学校の休み時間。ともえは友達から唐突に差し出された小さな紙包みを反射的に受け取っていた。

「……これ、何?」

「やだなぁ、忘れちゃったの? 先週話したじゃない。私、先週末に家族と旅行に行くって」

「え、ああ……ごめん」

 そんな話をしていただろうか。頭をふっとフル回転。そういえば、していたような気がする。

「だから、おみやげだよ」

「う、うん。ありがとう。開けてもいい?」

 中身はキーホルダーか何かだろうか。軽いが固い感触がする。ともえは紙袋を丁寧に開ける。中から出てきたのは、小さな髪飾りのついた髪留めだ。

「ありがとう。とってもかわいい」

「どうしたしまして」



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