【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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215:名無しNIPPER[saga]
2018/02/04(日) 10:08:41.42 ID:KQnxmm/50

…………………………

 昼休みの屋上は、太陽がサンサンと輝き、少しだけ夏みたいだ。屋上の一面が白いことも相まって、ほんのり暑い。

「…………」

 しかしめぐみは、夏とは正反対の枯れた顔をしている。無言でお弁当を口に運び、租借する。その姿は少し、不気味だ。

「あ、あの……大埜さん?」

「……何?」

 死んだ魚のような目がゆうきを向く。ゆうきはその様相にたじろぎながらも、言葉を続けた。

「もう一回、クラスの誰かに言ってみようよ。推薦者をやってほしいって」

「……言いづらいわ。ダメ。私、やっぱり怖いもの」

「えっ……?」

 めぐみが下に目を落とす。

「私……王野さんとは、色々あって仲良くなれたけど、他の人とそうなれるかすごく不安だもの。さっきはみんなで応援してくれるって言っていたけど、推薦者を頼んだときにどんな顔をされるかって想像したら……」

 めぐみの気持ちも分からなくはない。せっかく、クラスのみんなが応援してくれると言ったのだ。その今の状況に推薦者を頼むという一石を投じることによって、どんな結果が生まれるのか。それは誰にも分からない。誰かが引き受けてくれればいいが、誰も引き受けてくれなかったらどうだろう?

「ごめんなさい。私、とっても勝手なこと言ってるわよね……臆病で、情けなくて、本当に王野さんに申し訳ないわ」

 めぐみは本気で落ち込んでいる。本気でゆうきに対して申し訳ないと思っているのだ。

「大埜さんは優しいね。自分のことで大変なのに、わたしに申し訳ないって思えるって、すごいよ」

「えっ……」

 めぐみが顔を上げた。

「けど、わたしのことは気にしないで。わたしは大埜さんの友達だから。友達が困っていたら手を貸すよ。友達が何かをやろうとしているならそれを全力で応援するよ。そんなの、当たり前のことだもん」

 ゆうきはめぐみのことが好きだ。友達だから好きだし、好きだから友達だと思う。どっちが先かはよく分からないけれど、そういうものだと思う。

「王野さん……」

 めぐみがスーッと息を吸い込み、目をつむる。そして両手を上げ、それを不思議な目で見るゆうきの前で、めぐみは自分の顔を両側から思い切りはたいた。小気味いい音が響いて、めぐみが一瞬クラッと身体を泳がせた。



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