【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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200:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:26:40.16 ID:xIWFcIHZ0

「わたしはいいの。わたしは、生徒会長に立候補する大埜さんを応援できれば、それで……」

「でも、どうしてゆうきはめぐみに生徒会長に立候補してもらいたいグリ?」

「ふふ。そんなの決まってるじゃない、ブレイ」

 ゆうきは、嬉しくて嬉しくて、朗らかに笑う。

「わたしは、みんなに知ってもらいたいんだ。いつもは不器用で滅多に笑わない大埜さんだけど、とってもいい笑顔で笑うんだってこと。とっても優しくて、頼りになる女の子なんだってこと。みんなに、そんな大埜さんを知ってもらいたいの」

「グリ……」 ブレイもまた、まん丸のおめめで笑ってくれた。「ブレイも、めぐみの優しさをみんなに知ってもらいたいグリ!」

「うん! だから、わたしはがんばるよ! 大埜さんの選挙活動、がんばって応援しちゃうんだから!」

 選挙活動を通して、クラスでは物静かなめぐみが少しでも変わってくれれば、ゆうきは嬉しい。

 人通りのほとんどない夕焼けの街を、ほとんどスキップ同然の軽やかな足で駆ける。と、

「あっ……」

 しまった、と思ったときにはもう遅い。人がいないと思っていた住宅街の細い道端に、人がいたのだ。少しだけ顔が赤くなる。

 見られただろうか? 見られただろう。スキップまがいの足取りで、顔をにやけさせながら歩いていた自分を。

 ゆうきは慌ててたたずまいを正しながら、少しだけ八つ当たり、ブレイを鞄の奥へとむぎゅっと押し込んだ。

「…………」

 そのひとは、女の人だった。オシャレなバンダナを頭に巻いて、工作着のようにも見える簡素なエプロンを身につけて、チラシのような束を持って立っていた。

「ふわぁ……」

 少しだけ立ち止まり、思わず見とれてしまう。簡素な格好ながら、とてつもない美人がそこにいたのだ。

「あら……」

 その女性はゆうきを認めると、優しげな微笑みを浮かべると歩み寄ってきた。驚くゆうきに気づいているのかいないのか、そのまま正面に立つと、笑顔のままチラシのようなものを一枚、ゆうきに差し出した。

「これ……」 冷たく澄んだきれいな声だった。「あそこに新しくできるカフェの、チラシなの。私のお店なんだけど、もし良かったら、オープンしたら来てくれると嬉しいな」

「あっ……ありがとうございます」

「その制服、ダイアナ学園の生徒さんよね?」

「は、はい! そうです!」

 美人さんを前に緊張するゆうきに、彼女はあくまで朗らかだった。

「来週からオープンだから、よかったら来てね。お友達も連れてきてくれると嬉しいな」

「わぁ……すごい」

 また声が洩れてしまう。美人さんが示した先、たしか空き家があった場所に、オシャレなオープンテラスを備えたカフェができあがっていた。夕日になお映えるそのカフェは、女子中学生の心を奪うにふさわしい外装だった。ロンドンやパリの街角にあっても問題ないくらいおしゃれな見た目にすっかり夢中になって、ゆうきは女性に大きく頷いた。

「はい! 絶対に来ます! すごいなぁ……」

「ありがとう。わたしも、我ながらよくできたなぁ、って思ってたの」

「お店の名前は…… “ひなカフェ” ……?」

 チラシに目を落とす。『ひなカフェ』 。それがあのお店の名前のようだ。

「ええ。わたしの名前から取ったの。初めまして、ひなカフェの店長、小紋(こもん)ひなぎくです。お店共々、よろしくね」

 シンプルで飾り気のない格好をした、けれど華に溢れている美人さん――ひなぎくさんは、そう名乗った。



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