【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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193:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:16:45.24 ID:xIWFcIHZ0

「……出でよ、ウバイトール!」

 ダッシューの声に呼応するように、空が割れる。暗い空よりなお暗い闇から、“何か” が漏れ出すように地に落ちる。それは欲望に満ちた悪辣なる存在。それが、ダッシューの近くをグチャグチャとうごめいている。

「……この世の全ての “物” には、それにまつわる欲望がある。それは、一見して何でもない物であったとしても変わらない。ウバイトールは、その物に込められた欲望に反応し、相応の力を得る」

 ダッシューはそう言うと、生徒会長の立候補書類をその “何か” へと差し出した。

「なっ……! や、やめなさい!」

「断る。見せてもらうよ。君の持っていたこの書類にまつわる欲望を」

“何か” が書類を飲み込み、そしてそこに欲望に満ちた怪物が生みだされる。すさまじい風が吹き荒れ、そこにウバイトールが出現する。

『ウバイトォォォオオオオオオオオオル!!』

「書類のウバイトール……!」

「ユニコの大切な書類に、何をするのよ!」

「だから言ってるだろう? 僕は僕の欲望でしか動かない。悔しいのなら、返してほしいのなら、奪い返してみるんだね」

 言葉の終わり、まるで見計らったかのようにウバイトールが跳ぶ。本来ならあるはずのない足を使い、校庭の中央から端まで一気に移動する、すさまじい跳躍力だ。

「大きい上に身軽なのね……厄介だわ」

「とにかくやろう、ユニコ! 行くよ!」

「ええ!」

 ふたりほぼ同時に土を蹴り、跳ぶ。それに気づいたウバイトールが悪辣な瞳を歪ませ、ふたりに向け跳躍する。

「っ……!?」

 激突すると思った瞬間、ウバイトールが自らの身体をすぼめた。ふたりは蹴りを入れる姿勢のまま、ウバイトールの巨大な身体、即ち書類に包み込まれ、拘束されてしまった。

「しまった……!」

 慌ててウバイトールの身体を弾こうとするが、もう遅い。完全に包み込まれてしまったグリフとユニコは、ウバイトールに拘束されたまま校庭に落下した。

「ふふ……滑稽な姿だね、キュアグリフ、キュアユニコ」

 ウバイトールの身体から抜け出せずいるふたりを小馬鹿にするように見下ろして、ダッシューが言う。

「必死になった結果がそれだよ。君が持っていた書類、その欲望にすら勝てないなんて、ははっ、本当におもしろいね」



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