【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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128:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:23:21.59 ID:eQRkBpc+0

 我慢など、できるはずがなかった。ゆうきはブレイのつぶらな両目からこぼれ落ちた涙をすくい、顔を上げたブレイを思い切り抱きしめた。

「グリ……」

「勇気の国のこととか、王族とか、わたしにはよくわからない。けれど、あなたは臆病者なんかじゃないよ、ブレイ」

「ゆうき……」

「だって、あなたはフレンを助けようとした。ひとり捕まろうとしていたフレンを逃がすまいと、必死だった。あなたたちは勇敢で、優しい王子様と王女様だよ。あなたを逃がそうとしたフレンの優しさ、そんなフレンの手を掴んだあなたの勇気……わたしは、それを知ってるもの」

 臆病とか、勇敢とか、勇気とか、そんな言葉、使ったことはないし、詳しい意味なんて分からない。どんなひとが勇敢で、どんなひとが臆病かも分からない。けれど、それでも、たとえなんであろうと、

「……わたしは、ブレイのことを臆病だなんて思わない。弱虫だなんて、絶対に思わない。わたしの知っているブレイは、勇敢な王子様だもん」

「ゆうき……っ」

 気づけば、ブレイはまた瞳に涙をいっぱい溜めていた。

「ふふ……でも、泣き虫かもね?」

「グリ!? な、泣き虫じゃないグリ!」

「泣き虫でも、いいんだよ」

 ゆうきはそっと笑った。

「いいんだよ。泣いたら、泣いた分だけ強くなれるよ。笑ったら、笑った分だけ優しくなれるよ。だから、泣いたら泣いた分だけ笑おう? そうすれば、ブレイはもっともっとすごい王子様になれるよ」

「……グリ!」 ブレイは涙をぬぐって、笑った。「ゆうき、お願いがあるグリ。ブレイは、フレンときちんと話したいグリ。ちゃんと話して、わかり合いたいグリ。今すぐに!」

「うん。じゃあ、大埜さんの家に行こうか」

「グリ!」

 人と人との関係はとても複雑で、だからこそ大変なこともたくさんある。それが、元々わだかまりのある関係だったのならなおさらだ。けれど、ブレイは自分からフレンと話したいと願った。

 きっと、人と人が仲良くなるのなんて、そんなちっぽけな願いだけで十分なのだ。



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