【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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122:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:18:10.07 ID:eQRkBpc+0

…………………………

「ねえ、王野さん」

「うん?」

 空が赤く染まり始める夕方、とりとめのない話をしながらゆっくりと帰り道を歩いていると、めぐみが神妙な顔をして言った。ブレイとフレンは先ほどからずっと、それぞれ鞄の奥に引きこもってしまって、今はやわらかな寝息が聞こえてくる。

「どうしたの、そんな改まって」

「……フレンとブレイの話よ」

 めぐみは、その一言だけで通じると思ったのだろう。事実、ゆうきにはめぐみの言いたいことがすぐに頭に思い浮かんだ。

「……あのふたり、ってさ、」

「ええ」

「……仲、あんまりよくないのかな」

「…………」

 数呼吸分の沈黙。その間に、ブレイとフレンの小さな寝息がふたりの耳朶をたたく。小さな小さな、かわいらしい寝息のはずなのに、ふたりの耳にはやけに鮮明にその寝息が聞こえた。

「……分からないわ。だって、私たち、あの子たちのことをほとんど知らないじゃない」

「…………」

 言われてみればそのとおりなのだ。ゆうきは、そしてきっとめぐみも、ブレイとフレンを胸を張って友達だといえるだろう。けれど、その友達ふたりのことをよく知っているかと問われれば、はいとは答えられないだろう。

 ゆうきとめぐみは、フレンとブレイについて、知らないことが多すぎる。知っていることの方が、きっと少ない。

「どうしたらいいと思う?」

「そんなの、決まってるよ」

 迷うことなんてない。ゆうきとめぐみには、話すための口がある。伝えたい、想いがある。知りたいという気持ちを、ふたりに伝えることができるのだ。

「聞くしかないよ。わたしたち、もっとよくふたりのことを知らなくちゃいけないんだ。ロイヤリティのこと、アンリミテッドのこと……そして、ふたり自身のことを」

「……そうね。そのとおりだわ」 めぐみがふっと、小さく笑った。「だめね、私。やっぱり、あなたみたいにはなれないわ。ただ、友達に友達のことを聞くだけのことが、こんなにも怖い。あなたの言葉がなければ、直接聞くなんてこと、思い浮かびもしなかったと思う」

「そんなこと……」

「聞いたら迷惑なんじゃないかって、そんな風におもってしまって……けど、あなたと一緒でよかった。私ひとりだけじゃ、きっとフレンとブレイのこと、守ることしかできなかったと思うもの」

 めぐみの言葉には重みがあった。きっと本人が意図しているわけではないのだろう。けれど、それはまぎれもなく、めぐみ本人の葛藤でもあった。



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