【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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115:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:10:48.54 ID:eQRkBpc+0

……………………

 そこは黒い場所。光はあるが、すべてが黒いために暗く見える、そんな場所。

「……申し訳ありません、デザイア様」

「…………」

 その闇――欲望の闇の主、暗黒騎士デザイア。小柄な紳士のような出で立ちの騎士は、仮面の下に隠された両目で、ひれ伏す部下を無言で眺めている。

「一度ならず二度までも、プリキュアに対し敗走を喫してしまいました。これは私のミスです。いかなる処罰も受ける所存でございます」

 部下――ゴーダーツは、低く低く頭を下げ、主の言葉を待った。相手は恐ろしい闇の主。アンリミテッド最高司令官にして最強の騎士であるデザイアだ。自分の生殺与奪の権利は、すべてあちらに握られていると考えるのが妥当であった。

「……よい」

「は……?」

 やがて、ゴーダーツにとって何時間とも思えるほどの時間が経った頃、デザイアが小さくつぶやきの声を上げた。

「よい。前回は敗走ではなく、私にプリキュアの誕生を伝えるための撤退であろう。そして今回は初の敗走。それも、私の誤った情報によって、貴様が混乱したことも否めない」

「い、いえ! 決して、そのようなことは……!」

「構わん。まさかあの腰抜けのキュアグリフが、再び伝説の戦士として舞い戻るとは、私も思っていなかった。今回の貴様の敗北は、私の無駄な情報によるところも大きい」

「……恐れながら、それに関しては、同意いたしかねます」

「…………」

 ゴーダーツは頭のてっぺんからつま先まで、冷や汗を流しながら、しかし思ったことをそのまま口にした。彼もまたアンリミテッドの一員。己が言わんとしていることを、飲み込むようなタマではないからだ。

「プリキュアがひとりであれ、ふたりであれ、私は勝利しなければならなかった……私が、私の責任で敗北したという事実は、どうであれ変わりようがありません」

「…………」

「申し訳ありません。敗北した身でありながら、デザイア様に失礼なことを申し上げました。お詫びのしようもございません」

「……構わぬ。それが貴様の欲望のあり方だというのなら、な」

 デザイアはそれだけ言うと、彼方を見つめるように上を向いた。



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