鞠莉(16)「留学してそろそろ半年ね……」
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4:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:25:55.30 ID:nZJI/gt30


   *





フロアは大勢の話し声で渦が巻いているようだった。

男は生地の良いスーツ、女はドレスに身を包み、せわしなくあたりを動き回っている。

皆が笑顔だ。

中央テーブルに並ぶ料理の大半を残したまま、お互いの声を聞き取ろうとせっせと顔を近づけあっている。


鞠莉「……はあ」

愛想笑いで顔が固まりそうだ。頬が痛む。

細いヒールのせいでふくらはぎは張っているし、きつめのドレスで胸も苦しい。

会場の端に並ぶ椅子に腰かけて、思わずため息をついた。


「……随分と疲れているみたいだけど」

不意に声が掛かる。

1人の女性が、2つ隣の席で黄金色のシャンパンを呷っていた。

勝気な、けれど大人びた紫の目だ。

濃紺のドレスに紅い髪がやけに映えている。


鞠莉「先客がいたのね、ごめんなさい、気づかなくて」

「気にしなくていいわ」

鞠莉「日本語? あら、あなたのこと、どこかで……」



真姫「西木野真姫よ。聞いたことある?」





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