4:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:25:55.30 ID:nZJI/gt30
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フロアは大勢の話し声で渦が巻いているようだった。
男は生地の良いスーツ、女はドレスに身を包み、せわしなくあたりを動き回っている。
皆が笑顔だ。
中央テーブルに並ぶ料理の大半を残したまま、お互いの声を聞き取ろうとせっせと顔を近づけあっている。
鞠莉「……はあ」
愛想笑いで顔が固まりそうだ。頬が痛む。
細いヒールのせいでふくらはぎは張っているし、きつめのドレスで胸も苦しい。
会場の端に並ぶ椅子に腰かけて、思わずため息をついた。
「……随分と疲れているみたいだけど」
不意に声が掛かる。
1人の女性が、2つ隣の席で黄金色のシャンパンを呷っていた。
勝気な、けれど大人びた紫の目だ。
濃紺のドレスに紅い髪がやけに映えている。
鞠莉「先客がいたのね、ごめんなさい、気づかなくて」
「気にしなくていいわ」
鞠莉「日本語? あら、あなたのこと、どこかで……」
真姫「西木野真姫よ。聞いたことある?」
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